エンドリッキ、今季終了までリヨンへ期限付き移籍
2025年 12月 23日

19歳のストライカー、FWエンドリッキが今季終了までリヨンに加入することになったとブラジルのメディア「グローボ・エスポルチ」が報じている。エンドリッキはフランスのクラブと半年間、シーズン半ばまでの期限付き移籍契約を今月22日(月)に締結した。
ただしエンドリッキの保有権は引き続きレアル・マドリードにあり、同クラブとの契約は2030年半ばまで残っている。今回の移籍はあくまで、プレー機会を求めての期限付き移籍で、レアル・マドリード側は完全移籍での放出を考えておらず、買い取りオプションも付いていない。
交渉は11月後半に始まっており、エンドリッキは当初からフランス行きを前向きに捉えていたという。スロベニア代表FWベンヤミン・シェシュコの負傷を受けてマンチェスター・ユナイテッドが獲得に動いたものの、エンドリッキの意志は揺らがなかった。
「グローボ・エスポルチ」は、エンドリッキはワールドカップでブラジル代表としてプレーするという夢のためにも、より多くの出場時間と主役としての役割を求めているとしている。
カルロ・アンチェロッティ監督自身も、エンドリッキが再びブラジル代表のユニフォームに袖を通す可能性について「扉は開かれている」と述べているが、その一方で、レアル・マドリードでの出場時間の少なさという問題を解決しなければ、代表候補として再び視野に入ることは難しいとも指摘していた。
リヨンは現在、フランス1部リーグで5位につけ、ヨーロッパリーグのリーグフェーズでも好成績を収めている。出場機会を求めて移籍の可能性が示された段階で、欧州の上位クラブからも問い合わせがあったという。しかし、評価は明確で、「控えとしてポジション争いをするのであれば、マドリードに残った方が良い」というものだった。
エンドリッキがレアルを離れるのは、あくまで“試合に出られる場合のみ”という前提がある。
レアル側は当初、ラ・リーガ所属クラブへの移籍を優先したい意向を示していた。エンドリッキはスペインに来て1年半が経過しており、あと半年でスペイン国籍取得の条件を満たすためだ。しかし、リヨンが重要な大会に出場していること、そしてブラジル人選手を多く受け入れてきたクラブ文化が、移籍先として有利に働いた。
さらに、ポルトガル人のパウロ・フォンセカ監督の存在も好材料とされている。言語面での適応が容易なうえ、指揮官はこれまでポルトやブラガ(ポルトガル)、さらにはウクライナのシャフタール・ドネツクなどで多くのブラジル人選手を指導してきた経歴を持つ。
エンドリッキがレアル・マドリードに加入したのは昨年のシーズン開幕直後で、当時はカルロ・アンチェロッティ監督がチームを率いていた。前線の競争が激しい中でも、彼は37試合に出場して7得点を記録。その多くは国王杯(コパ・デル・レイ)で挙げたもので、同大会では5得点をマークし、得点ランキング2位となった。
しかし、シャビ・アロンソ監督の就任後は出場機会が減少。2025/26シーズンにレアル・マドリードが戦った25試合のうち、エンドリッキが出場したのはわずか3試合にとどまっている。この期間で唯一の先発出場は、先週行われた国王杯のタラベラ戦だった。
(文/麻生雅人)




