収監中のボウソナーロ元大統領、鼠径(そけい)ヘルニアの治療手術を受ける
2025年 12月 26日

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ブラジルのジャイール・ボウソナーロ元大統領は12月25日(木)、両側鼠径(そけい)ヘルニアの治療手術を受けた。手術は連邦最高裁(STF)のアレシャンドリ・ジ・モラエス判事の許可を得て、連邦区ブラジリアの私立病院で実施された。手術時間は3時間を超え、担当医師によれば予定どおりに進んだという。
2023年1月8日の三権(行政府・立法府・司法府)広場への襲撃に至ったクーデター未遂の共謀の罪で有罪判決を受けたボウソナーロ元大統領は、現在27年3カ月の禁錮刑に服しており、アレシャンドリ・ジ・モラエス連邦最高裁判事の決定により、11月25日からブラジリアの連邦警察(PF)本部で収監されている。
今回の木曜日の手術を受ける許可を得たボウソナーロ氏は、24日朝、連邦警察の職員に付き添われて病院へ移送され、ミシェリ・ボウソナーロ元大統領夫人も同行した。
司法命令により、入院中のボウソナーロ氏は 24時間体制で監視される。病室の前には常時2人の警察官が配置され、さらに病院内外に複数の警備チームが置かれることになっている。
執刀したクラウジオ・ビロリーニ医師は、手術終了後にボウソナーロ氏が今後数日間経過観察のために滞在する病室へ移された後、「手術は何の合併症もなく行われました」と記者団に語った。
ビロリーニ医師によると、腹部左側で確認されたヘルニアはまだ初期段階で、右側のものより小さかったが、将来的に再び手術が必要になる事態を避けるため、今回同時に処置することが適切だと医療チームが判断したという。
「もし今回処置しなければ、数カ月後には(ボウソナーロ氏は)右側と同じような臨床症状を左側でも発症していたでしょう。そこで、両側の鼠径ヘルニアを同時に修復しました」(クラウジオ・ビロリーニ医師)
医師はさらに、今回の手術は全身麻酔下で行われ、医療チームは腹壁内部にポリプロピレン製のメッシュを挿入して弱くなった部分を補強し、将来的なヘルニア発生を防ぐ措置を施したと説明した。
医療チームの初期見立てでは、ボウソナーロ氏の回復には5日から7日ほどかかる見通しで、その間は観察下に置かれ、理学療法やその他の処置を受けることになる。これらは、静脈血栓塞栓症(血栓形成)などの血管系の合併症を防ぐ目的も含んでいる。
医師団は、数カ月にわたり元大統領を悩ませている持続的なしゃっくりについても、追加の処置が必要かどうかを改めて評価する方針だ。
「これは、(ヘルニア手術に加えて)現在の患者の経過観察における中心的なポイントです」と、心臓専門医のブラジル・ハモス・カイアード氏は述べた。同氏によると、しゃっくりは呼吸や睡眠に影響を及ぼし、ボウソナーロ氏にさらなる疲労をもたらし、回復を妨げる要因となっているという。
「術後で身体が回復を必要としている時期に、彼はこのしゃっくりにほとんど“攻撃されている”ような状態です」(ブラジル・ハモス・カイアード医師)
今後数日間、ボウソナーロ氏が入院している間に、医療チームは投薬を強化し、追加の手術を行わずに問題を解決できるかどうか、他の選択肢も検討するという。
「今後数日間、手術が必要かどうかを見極めます。おそらく月曜日(29日)に判断することになるでしょう。薬の効果が現れるには十分な時間だからです」(ブラジル・ハモス・カイアード医師)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




