トランプ氏の行動は国際法への侮辱、と専門家が指摘

2026年 01月 5日

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2026年1月3日、米国、フロリダ。ベネズエラのマドゥーロ氏拘束について声明を発表するトランプ米大統領(写真/RS/Fotos Públicas)

ノートルダム大学で国際法および平和研究を専門とするメアリー・エレン・オコンネル教授は、ドナルド・トランプ大統領によるベネズエラへの軍事攻撃について、世界各地で不信感を高め、米国が国際的な指導的地位を確立する助けにはならないとの見方を示した。

さらに同教授は、ベネズエラの情勢が本質的には変わらないまま推移する可能性もあると指摘している。

「法の支配において最も重要な原則――そして私たちが法律を持つ根本的な理由――は、人々が自らの手で力ずくの“私的制裁”に走るのではなく、違法行為や暴力に代わる手段を提供することにあります。国家同士が互いに暴力を行使して世界で優位に立とうとすることも、私たちは認めていません。世界が繁栄するのは、平和と調和、そして条約が尊重される秩序ある国際システムのもとにおいてなのです」(メアリー・エレン・オコンネル教授)

教授は、トランプ大統領が大規模な軍事攻撃を命じ、米軍による作戦が死者や破壊、そしてベネズエラ国民の間に恐怖をもたらしたにもかかわらず、法的な正当性は一切示されていないと指摘した。

「これは国際法すべてへの侮辱です。まるでトランプ大統領が、武力行使の権限について好き勝手に決められるかのように振る舞っているのです。こうした行動は世界に大きな失望をもたらすでしょう。短期的には、米国が国際的な指導力や国際法への支持を取り戻す助けにはなりません。むしろ不信感をさらに広げるだけです。米国が法の支配と民主主義を尊重する国としての信頼を回復するには、長い年月が必要になるでしょう」(オコンネル教授)

オコンネル教授はさらに、現時点で判明している範囲では、ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領が、同国最高裁判所(TSJ)の決定に基づき権限を引き継ぐ見通しだと指摘する。

「たとえマドゥーロ氏が違法に国外へ連れ去られ、米国で裁判にかけられる可能性があるとしても、ベネズエラの情勢が根本的に変わるとは思えません。これは民主主義の明確な前進とは言えず、法の支配を軽視する姿勢の表れでもあります」(オコンネル教授)

教授は最後に、歴史を振り返れば国際法を順守する国こそが真の成功を収め、やがて国際社会のリーダーとして台頭してきたと強調した。

「トランプ大統領が懸念を抱くのは理解できます。マドゥーロ氏が“英雄”でないことは確かですし、世界中、そしてアメリカ大陸で麻薬取引や人身取引に対処する必要があるのも事実です。しかし、そのために法を破ってはなりません。必要なのは、法を回復し、法を支えることです。そして、法を無視する者に立ち向かう勇気ある裁判所をつくることなのです」
(オコンネル教授)

1月3日(土)、ベネズエラの首都カラカスの複数の地区で爆発が相次いで確認された。米国が主導した軍事攻撃のさなか、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領とシリア・フローレス大統領夫人は米国の精鋭部隊によって拘束され、ニューヨークへ移送された。

米国によるベネズエラ攻撃は、ワシントンが中南米で直接介入した新たな事例となった。米国が最後にラテンアメリカの国へ侵攻したのは1989年のパナマで、当時のマヌエル・ノリエガ大統領を麻薬取引容疑で拘束した際のことだった。

ノリエガ大統領の時と同様に、米国は今回も証拠を示すことなく、マドゥーロ大統領が「デ・ロス・ソレス」と呼ばれるベネズエラの麻薬カルテルを率いていると非難している。しかし、国際的な麻薬取引の専門家の間では、このカルテルの実在そのものに疑問が呈されている。

米政府はこれまで、マドゥーロ大統領の身柄拘束につながるような情報に対して最大5,000万ドルの懸賞金を提示していた。

批判的な見方によれば、今回の行動は、ベネズエラを中国やロシアといった米国の世界的な競合勢力から引き離すための地政学的措置であるとともに、米国が世界最大規模の確認埋蔵量を持つ同国の石油資源への影響力を強める狙いがあるとされる。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)