ブラジル音楽のビッグバンド、Mandacarinho公演

2013年 09月 17日

Everybody(yes)

Mandacaru マンダカルーという名前の、ブラジル原産の20~30mにもなるサボテンみたいな植物があります。Mandacaruは、夜だけ30cmくらいの大きな白い花が咲きます。

Mandacarinho マンダカリーニョは、いろんな国の出身のミュージシャンが、ブラジル音楽を演奏するビッグバンド。ロナウドをロナウジーニョと呼ぶように、ポルトガルでは誰かを“ちゃんづけ”して呼ぶときときに、語尾に“nho ニョ(女性名詞はnha ニャ)”をつけます。だから、マンダカリーニョは、マンダカルーちゃん、といったニュアンスになります。

マンダカリーニョは、そんな名前にぴったりな、心の奥底が踊ったり、きゅーんと胸ときめく様な、ブラジル音楽で愛情(carinho)を届け(mandar)てきたバンドです。

指揮者の八木さんに、総勢15名のメンバーを紹介していただきました。因みに、メンバーはそれぞれJ-popアーティストなどのサポートやCMレコーディングで活躍するファーストコールのミュージシャンで、各々がリーダーバンドを持っている様な人たちです。

Trumpet Luis Valle

Trumpet
Luis Valle「キューバ出身。Afro Q-bamigosというリーダーバンドをやっています。キラキラしたお日様の音を出す、バンドのムードメーカーです。音を作るアイディアを、イッパイくれます。宴会部長」

田中充「早稲田出身、バークリー音楽大学卒。ミツルジルシというオリジナル曲をやるバンドを持ってます。本人曰く「妄想」な世界観はめっちゃツボで、作曲の中にも演奏にも風景が見えます」

高瀬龍一「ジャズ界の大御所。カウント・ベイシーの曲に特化した高瀬龍一ビッグバンドのリーダー。飲み会でばかり会っていたのだけれど、Terence Branchardがイヴァン・リンスの曲ばかりを演奏したアルバムが大好き!という発言で、参加依頼。お酒と肉の国大統領」

Mike Zachernuk「カナダ出身。ビッグバンドをやりたいとパウリーニョと話していた時に、彼が『絶対Mike!』ってイチ押しだった人。なのに、パウリーニョはMikeの苗字が覚えられず、携帯にも”Mike “Z”って入ってた(笑)。もの静かに見えて実はめちゃくちゃオモシロくて、中身がイッパイな性格が演奏にも表れています」

Trombone:
Fred Simmons「LA出身。バンマスにビールをごちそうしながら指揮も教えてちゃうくらい、外見とは裏腹に(?)めっちゃスイートな人。音もめっちゃスイートです」

上杉優「きれいなポルトガル語で歌も歌っちゃう、すばらしいトロンボーン・プレイヤー。バイーアに3ヶ月滞在したことも。彼女の演奏も性格もめちゃくちゃキャッチー。肉食」

堂本雅樹「どこのバンドでも「最低男」と言われるバストロンボーン。最低というのは最低音、という意味で、ですが。彼の音にはバストロンボーンの神様が宿っています。肉食」

Sax:
Steve Sacks「Washington DC出身。New Yorkのジャズ+ブラジル音楽界でも活躍。現在は日本でMinaswingというバンドをやっています。キャリアもアレンジも演奏もすばらしいのに、何故かオヤジギャグ」

Gustavo Anacleto「ブラジル北東部のヘシーフィ出身。ブラジルではスポッキ・フレーヴォ・オーケストラに所属していました。心の深いところにあったかく触れる演奏をします。来日して6年くらい。杏里のツアーで「輝き」という歌詞をずっと聞いていたため、定食屋で「豚の輝き下さい」「ありません」「いつもの、豚の輝きですっ!」「ありません」と、「豚の生姜焼き」を頼むのに苦労した経験あ り」

Andy Wulf「カナダ出身。Afro Q-bamigosメンバー。今回は大忙しのため、出演できません」

Andy Bevan「Wulfのトラで出演します。パウリーニョが縁で出会ったオーストラリア出身のサックス・プレイヤー。8月に1ヶ月リオに滞在し、毎日のように演奏したり、満喫してきた様子。でもホントは納豆+ゴハン+お味噌汁大好き」

長島一樹「中学の時にバットからバリトン・サックスに持ち替えた野球少年。かの有名なNorth Texas大学のOne O’clock Lab Bandに在籍していた彼の音は、日本語を喋らないんです。酒飲み高校、5年3組担任」

Guitar:
平岡雄一郎「陰のバンマス。9.11をきっかけにLAから日本に移住。いろんなボーカリストのプロデューサーとしても活躍中。とっっっっても セクシーな音なんです」

Piano:
宮野寛子「通称ピロコ。各地でリーダーライブをやっています。パウリーニョ亡き後のピアノを引き受けてくれた、すばらしいピアニス ト。彼女の楽曲も演奏も性格も世界感に溢れ、繊細で大胆な、意外にも肉食動物」

Bass:
加瀬達「パウリーニョが来日以来ずっと信頼していた、長年の友達。ブラジルにいる沢山のミュージシャンも「カゼのベース、大好き!」って言っちゃうほど、信頼されてるベーシスト。ちなみにカセがカゼになるのは、ポルトガル語では母音にはさまれた「s」は濁音になってしまうから。パウリーニョがプロポーズしちゃった位オイシイ、プリンを作ってくれる人」

Drums:
加納樹麻「関西→LA→東京。Pink Bongoというバンドをやっています。彼の血はきっとグルーブしながら流れています。音が歌いまくって、開いてます」

アレンジ+指揮担当で、お祭り係:
八木美楠子「WEBを使った広報役や全てのバンドの指揮をされる熱いメッセンジャー」

ところで、マンダカリーニョを語る時に忘れてはならないのが、創設者パウリーニョこと、Paulo Cesar Gomes パウロ・セーザル・ゴメスのこと。

「Banda Mandacarinhoは“リズムもハーモニーもリッチなブラジル音楽をビッグバンドで表現したいね!”ってパウリーニョと話して、2011年に立ち上げたバンドなんです」(八木さん)

パウリーニョは日本に25年くらい住んでいて、ピアニストとして小野リサやOrange Pekoe、平井堅など数々のレコーディングや、パウラ・リマやファッチ・ファミリーなどブラジル人アーティストの来日公演でも演奏をしていました。グスターヴォ・アナクレートも在籍する「ソン・ブラジル」ではリーダーを務めていました。

「パウリーニョがニコニコしながら(いつも笑ってた!)ジャズクラブや、ブラジル音楽のライブハウスで弾いてるのを覚えている方も多いと思います。でも、2012年の4月に悪性リンパ腫で他界してしまいました。イヴァン・リンスがくれた弔電には『パウリーニョの音楽はみんなの中にある。だから、パウリーニョはみんなの中にいる』と書かれていました」(八木さん)

「音楽のために音楽を演奏する、愛に溢れたパウリーニョの思いを、Banda Mandacarinhoも引き継いでいます」(同)

(文/加藤元庸、写真提供/Mandacarinho)

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Mandacarinho公演

日時:9月18日(水)
1st set 19:30
2nd set 21:30
入替なし

場所:Blues Alley Japan
ホテルウィングインターナショナル目黒B1F
03-5496-4381
webmaster@bluesalleyja.co.jp

テーブル席(指定)4,000円
ディナーセット(ミニディナー+1Drink付 MC・SC込)10,500円
当日券500円UP