ファヴェーラに常駐する治安維持部隊UPP(ウー・ペー・ペー)
2013年 10月 8日10月4日(金)、ファヴェーラ、ホッシーャニャの住人アマリウド・ヂ・ソウザさん失踪に関与している容疑で、ブラジルのスラム街における常駐の軍警察治安維持部隊(Unidade de Polícia Pacificadora)、通称UPP(ウー・ペー・ペー)で働いていた10人の警官が逮捕された事件が話題になっている。しかし、多くのUPP隊員は、各ファヴェーラに駐在して地元の治安維持のために働いている。
10月6日(日)、セルジオ・カブラウ・リオデジャネイロ州知事は、7月14日にアマリウドさんが、UPPに連行された後に消息を絶った事件のケースだけで、UPP全体を判断するべきではないというコメントを発表したとAgência Brasilが伝えている。
「UPPで働く警官のほとんどは、市民の治安を守るために働いています。アマリウドさんの一件だけで、そこに働く8600人の警官たちも同じだとは思わないでほしい」(カブラウ知事)
知事のコメントは、Lins リンスにあるファヴェーラにUPPが配属されたことを機に発表されたという。UPPは続いて、ブラジル大通りとリーニャ・ヴェルメーリャの間にあるファヴェーラ、Complexo da Maré コンプレクソ・ダ・マレーへの配属が予定されているという。
実際、UPPが配属されたファヴェーラではUPPと住民が協力し合って治安を回復させ、経済活動をはじめとする地元の活性化につながっている様子が報じられてきた。
初めてUPPが設置されたのは2008年、ボタフォーゴのドナ・マルタの丘にあるファヴェーラ、サンタ・マルタだった。現在UPPは30以上の地域で日本の交番のように地元に密着して常駐、24時間体制で治安維持にあたっている。
また、知事はデモに便乗して頻発する暴動に関しても言及した。
カブラウ知事は「10月1日にも教職者の給与に関するデモで軍警察が暴動を鎮圧しましたが、警官たちはデモの主張は理解しています。しかし残念ながら、デモを利用していくつかのグループが、銀行や建物を破壊したりしています。私たちは、デモにおける、主張を述べている人達と、便乗して暴力行為を働いている人たちを区別して対処するよう善処します。教職者のみなさんのことはリスペクトすべきです」とも語ったという。
(文/麻生雅人、写真/Tomaz Silva/ABr)
写真は10月6日(日)、リオ市北部にあるリンスのファヴェーラ。UPPの35部隊、36部隊が配属された。この地域には12のコミュニティがあり15000人の住人がいる