ワールドカップ期間のホテル不足はこれで解決!?観光省がB&B臨時営業家庭を募集

2014年 01月 15日

リオのB&B

目下、ワールドカップ開催期間の宿泊施設不足に悩むブラジル。かといって無闇にホテルを新設してしまい、大会終了後に空室だらけのホテルが残されるような状況は避けたいところ。で、なんとか効率良くこの問題を乗り切ろうと、観光省が動いている。同省が、開催12都市で国内外の宿泊客のためにB&Bとして部屋を解放してくれる家庭を募っていると1月12日付け「アジェンシア・ブラジル」が伝えている。

ベッド&ブレックファースト、略してB&B。ブラジルではポルトガル語でカーマ・イ・カフェ(Cama e Café)。アイルランドが発祥といわれるこの宿泊システムは、ごく普通の一般家庭が、ベッドと朝食だけを提供するという簡素な宿泊サービスだ。

B&Bにもいろいろあり、ペンション同様に客室をきちんとあつらえているところから、民宿よりもカジュアルで、ほぼ一般住居の間借り、というスタイルまでがある。今、ブラジルで増えているのが後者のスタイルのB&B。都心のマンションで、空いている1室を客に提供、バスやトイレはホスト家族と共同、朝食もホスト家族の居間で、というものだ。宿泊費もホテルよりは安いことが多い。

現在、開催地のひとつで7試合が行われる予定のブラジリアでは、325家庭が臨時B&Bサービス提供を申し出ており、計算では450名が宿泊可能となるという。リオデジャネイロでも、準備が進行している。

観光省が制作した宿泊サービスに関するサイトhttp://hospitalidade.turismo.gov.br/でも、B&B情報の紹介サイトにリンクが貼られている(「Cama e Café」をクリック)。

「B&Bを増やすことは、宿泊可能な場所を広げてブラジリアの観光サービスを充実させると同時に、地元の人々の雇用創出にもなります」(観光省)

サイトでは部屋の写真や紹介文、サービス内容などが記されている。たとえば母と姉妹と同居している、とある商人は「ダブルベッドのあるアパートの一室をお貸しします。私はたばこを吸います。また、流暢に英語を話せます。部屋はインターネット利用可能、バストイレ、エアコン、ケーブルTVつきです」と自身の施設を紹介する。

リオデジャネイロでは大会最終日のために、サンタ・テレーザ地区に130ヘアイス(レアル)約5782円の部屋が登録されている。曰く、「ベランダには2本のハンモック、ラルゴ・ド・ギマランエスの近くで文化地区にあります。キッチン、洗濯機利用可。Wi-Fiもあります」。

観光省ではW杯開催期間中、海外から540万人、国内からは186万人の観光客がブラジルに集うとみているという。ちなみに2013年のコンフェデレーションカップ期間には、観光客の58.4%がホテルとホテルに準じる施設を利用、37.1%が友人宅、3.8%がマンションや借家を利用したという。W杯南アフリカ大会のときもB&Bは宿泊施設の10%にのぼったという。

2012年に海外からブラジルを訪ねた観光客は計567万人で、そのうち約半分近い約44.2%が、B&Bのような宿泊施設を臨んだという。4.9%が巡礼者用の宿やキャンピング、借家が11.9%、友人や親戚宅が27.9%だったという。

「ホテルほど厳密なルールがなく、家族的な雰囲気で宿泊できるB&Bでは、直接ホスト家族と触れ合うので、その国の文化や習慣にリアルに接することができるのも、B&Bのメリットのひとつです」(観光省)

(写真・文/麻生雅人)
リオデジャネイロ、レブロン地区のマンションで経営されているCama e Café(B&B)の寝室。一部屋約230ヘアイス(レアル)約10000円、2012年当時