ブラジル人レーサーはF1以外のレースで躍進

2014年 02月 2日

トニー・カナーン

フェリッペ・マッサ自身はウィリアムズへのレギュラー契約を確保したものの、F1における現在のブラジルの状況を歎き、行く末を不安がっているという。1972年から1991年の間にF1の世界で8つのタイトルを手にしているブラジルは、世界の自動車レースの歴史においてずっと最先端を走ってきた。しかし、今やかつての栄光の面影は失せている。

そんなマッサに対して、ブラジル自動車レース連盟(CBA)は「自動車レースはF1がすべてではない」と語ったという。1月17日(月)付け「グローボエスポルチ」(電子版)が伝えている。

ブラジル自動車レース連盟(CBA)のクレイトン・ピンテイロ会長はいう。

「ブラジルのレーサーが国際的な舞台での活躍の場が減っているのは、ドライバーの技術の問題だけではありません。スポンサーがいなくなったことも大きな問題なのです。一方、ブラジル国内のさまざまなレースではスポンサーもついていて、レーサーたちが活躍しています。ストックカー・レースのサポートも、比較的経済的なので、企業も支援がしやすいでしょう」

また、マッサと、元F1ドライバーのフビーニョ(ルーベンス・バリチェロ)は、自動車レース協会によるレーサーへの応援が足りないと不満を述べていたという。その点に対しては「F1ドライバーが減っているのがCBAのサポートがないからだという意見もあるようだが、CBAは、スポーツとしての自動車レース自体を支援はするが、個々の選手へのサポートを行う組織ではない」と反論したという。

CBAとしては、ブラジルの自動車レース界は、心配すべき状況ではないという。確かに、F1への参加は減っているが、その一方で自動車レースの他のカテゴリーではブラジル人の活躍の場は増えているという。1993年~2011年のF1時代に326のレースに出走したフビーニョ(ルーベンス・バリチェロ)も、現在は国内のストックカー・レースで活躍している。

「F1がすべてではありません。世界全体のいろいろな自動車レース全体で見ればブラジルは随分と存在感を発揮しています。活躍しているブラジル人レーサーは数多くいるのに、名前が知られていないのが残念です」

クレイトン会長は、ドイツツーリングカー選手権(DTM)で2013年に2位に輝いたAugusto Farfus Júnior アウグスト・ファルフス・ジュニオール、インディアナポリス500マイルレース(2013年にブラジル人のトニー・カナーンが優勝)などを挙げた。

(文/加藤元庸、写真/Getty Images)
写真は2014年1月15日、表彰を受けるインディアナポリス500マイルレース、2013年勝者トニー・カナーン