ブラジルで、身体に刺青を入れて広告料で生活する男が話題に

2014年 04月 21日

またひとり、面白い男性がブラジルで注目されている。現地メディア(「G1」4月10日付け、電子版)が報じている。

その男性は、自分の身体を刺青による広告スペースとして販売することで生計を立てている。現在、額に入れる刺青の顧客を探しているという。

話題の主はEdson Aparecido Borim エヂソン・アパレシード・ボリンさん(49)。地元ではバイアーノというあだ名で知られている。もともと刺青好きで知られていて、バーで話していた冗談が発端だったという。失業後、このアイディアが冗談ではなくなり、今ではエヂソンさんの主な収入源となったのだそうだ。

エヂソンさんがこの“事業”を始めたのは8年前。彼の胸や背中、腕には、BMGなどの大手企業から、車の駐車場、スーパーマーケット、レストラン、動物病院、メガネ店などの地元商店まで、49の刺青による企業や店のロゴがぎっしり。刺青広告による収入は月額50~400レアルとばらつきがあるという。

「クライアントは、広告のサイズや広告を入れたい場所を選べます。私はスペースの大きさで価格を設定しましたが、企業規模によっても価格設定は異なります。全て会話と信頼関係にもとづいたいい契約です」(エヂソンさん)

エヂソンさんが暮らしているのは、サンパウロ州郊外のタナビという小さな町。基本的に、上半身裸になって歩き回るが、24時間そうしていなければならないと義務付けられているわけではない。クライアントが広告料を支払わなかったりキャンセルした場合は、広告の上に×印がつけられる。

「ありがたいことに私が住んでいる街は暑いですからね。私はいつも上半身裸です。シュハスコに行くときもパーティにいくときも」

現在エヂソンさんはより多くの広告を得るために、今では地元のタバニだけでなく近隣の町にも足を延ばし、アラカトゥーヴァ、サンジョアン・ド・リオ・プレットなどの店からも広告が入っているという。

「私は現在、自分の額に刺青を入れたい広告主を募集しています。でもそれは大企業で、良い契約でなければなりません」

ただし、広告主の多くはエヂソンさんの友人たち。広告を出している地元スーパーマーケットの店主Nilton Castrequini ニウトン・カストレキーニさんは「この広告はふたつの価値があります。大きな価値は失業した友人を助けることとで、店の宣伝も兼ねているというわけです」と語る。

また、エヂソンさんの広告事業は営利目的だけではない。献血キャンペーンなど、慈善事業として無料で行っている広告もあるという。

「もともと私は純粋に刺青が好きでしたから、広告をはじめる前から刺青をしていましたし、この事業に関してまったく問題を感じていません」

ところで、この「G1」の報道をイギリスで伝えた「BBC News」(4月16日付け、電子版)は、身体に入れる刺青広告は「Skinvertising」と呼ばれ、2000年代半ばに物議を醸したことがあるのだという。多くのIT系企業がこの広告を試したが、その会社の多くは今はなく、既に存在しない企業の広告の跡が多くの人の身体に残されているとBuzzFeed reportsが伝えているという。

(文/加藤元庸)