クリスティーナ・キルチネル大統領、アルゼンチン遷都を提案。ブエノスアイレスからサンティアゴ・デル・エステロへ

2014年 09月 10日

アルゼンチン遷都

アルゼンチンのクリスティーナ・キルチネル大統領が、同国の首都をブエノスアイレスから、北部にある歴史のある静かな都市サンティアゴ・デル・エステロに移転する構想を発表したと、ブラジルのメディア(「G1」9月10日づけ)が伝えた。

人口約23万人の静かな都市サンティアゴ・デル・エステロが、国内で突然、注目を浴び始めた。

サンティアゴ・デル・エステロは、アルゼンチン最古の都市という歴史があり、夏には高い気温を記録することもあり、今も、スペインの植民地時代から伝わる昼寝の風習“シエスタ”が残る町だという。

キルチネル大統領によると、遷都の主な理由はこの町の地理的な位置だという。

大統領は「世界は変化しています。戦略的なビジョンにより、私たちは地域的なデザインを(改めて)考える必要があります」と、町を訪問した際に述べた。

ブエノスアイレスからサンティアゴ・デル・エステロへの移転により、アルゼンチンはアジア市場など新しい輸出市場に、よりアプローチするだろう、という。

「指導者として私たちは“事実”を認める必要があります。今日、私たちの通商は東洋に向いています。先進国は危機や問題を抱えていますが、(アジア諸国は)購買力を高めています」(キルチネル大統領)

1563年にスペイン人が入植して作ったサンティアゴ・デル・エステロは同国最古の都市で、“都市の母”とも呼ばれている。アルゼンチンからは約1200km離れており、国内ではサンティアゴと呼ばれて親しまれているという。

歴史家によると、15~16世紀にはインカ帝国との争いもあり、その影響が残っているという。

チリの国境から400kmほどの距離にあり、太平洋に隣接しているペルーとも近くなり、アジアへのルートに有利と考えられている。

キルチネル大統領によるこの遷都案は国内で賛否両論を巻き起こしているという。

映画監督でもフェルナンド・”ピノ”・ソラナス議員は「冗談も休み休みに言え」と一蹴。

野党のラウラ・アロンソ議員も「政府が太平洋貿易を推進したければ、適切な外交政策をとるべきだ」と述べた。

しかしキルチネル大統領は遷都実現の可能性に自身を持っているという。

(文/麻生雅人、写真/Presidência da Argentina)