ブラジル統一選挙前で連邦政府の予算増大

2014年 09月 17日

PAC2投資計画発表 ジウマ大統領

非政府団体(NGO)のコンタス・アベルタス(以下、CA)が(9月)12日、統一選のため、連邦政府の8月の投資額が68億レアルに急増し、それ以前の月平均47億レアルを大きく上回ったと発表した。

(9月)13日付エスタード紙によれば、CAの試算は連邦行政関係情報一貫化システムのデータを基にしたもので、8月の投資額68億レアルを加算した1~8月の投資累計は2006年以降最高の399億レアルに達した。

この額は今年度予算の47.6%に相当し、2012年同期の30.4%や13年同期の31.9%比急増している。

CAのジル(ジウ)・カステロ・ブランコ事務局長は、2010年選挙時も7月からの投資額が増えて12月まで高止まりしたとし、8月の投資急増は選挙目的だという。

だが、今年は税収が減り、130億レアルを見込んだ滞納税回収計画も60~90億レアルの回収で終りそうな中での投資増額で、税収減や投資急増で今年度の基礎的財政収支の目標達成はより困難になると見られている。

CAによれば、投資額最多は交通省の54億レアルで、8カ月の累計は83億レアルとなった。

農務開発省も昨年1~8月の投資額8億レアルが37億レアルに急増。同省の投資増額は、5万人以下の自治体の道路修復のための機器や資材配布と、農村地域の持続可能な開発支援のためのトラクター他の農業機械配布が原因だという。

干ばつで上半期の経済活性化計画(PAC)関連事業が加速された開発省への投資額も、下半期に拡大する見込みだ。

一方、15日付エスタード紙は15年のインフラ関連事業費は縮小傾向と報道。保健衛生や教育、社会福祉関係の支出増など、予算そのものは21.2%増えるが、交通省予算は208億レアルが193億レアルに7.1%減など、インフラ関係は縮小した。

企画省は、予算縮小はPAC2が終盤に入った事と、官民合同プロジェクトの導入、国道改修と運営権委譲を抱き合わせた入札が増えて負担が減った事などを理由としている。

だが、CAのジル(ジウ)事務局長は、交通省関連のPAC2事業は37.3%が完結したのみで、28%は計画や入札、契約の段階にあり、予算縮小の理由にはならないとしている。インフラ関係で予算増は上下水道整備などを担当する都市省の1.2%のみだ。

連邦政府予算は、議会で承認される予算の他、前年までに契約したが事業は今年履行とか事業は行ったが支払がという支出(レストス・ア・パガール)、運営権を委譲する企業への社会開発銀行(BNDES)からの融資という3種の帳簿からなり、来年、実際に投資される額は不明瞭だ。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Roberto Stuckert Filho/PR)
2014年6月、PAC2(成長加速計画2)によるアーバンモビリティなど公共投資発表式典でのジウマ大統領