居住者の94%がファヴェーラの生活を「幸福」と考えている!?研究書「ファヴェーラという名の祖国」発売

2014年 09月 16日

ファヴェーラという名の祖国

ある調査の結果によると、ブラジルの35都市にある63のファヴェーラの住民の94%が、幸せであると答えた。

また、回答者の3分の2が、もし自分の収入が倍になったとしてもファヴェーラを出ていきたくないと答えた。

そして彼らは、コミュニティ(ファヴェーラ)の中における公共サービスの欠如と品質について批評した。

この研究はリオデジャネイロで9月14日に発売された「ファヴェーラという名の祖国」という本にまとめられている。「ファヴェーラという名の祖国」では、これまで行われてきたファヴェーラの研究の中でも最大規模の調査が行われている。

同書はセントラウ・ウニカ・ダス・ファヴェーラス(CUFA)の創設者でもある、著者のセウソ・アタイーヂによって、大衆データ研究所のヘナート・メイレリス代表や大統領選の立候補者でもあるアエシオ・ネヴィス候補(PSDB)などに献本された。

著者の一人であるヘナート・メイレリス氏がアジェンシア・ブラジルに語ったところによると、この本では2000人にインタビューを行い、35の都市にある63カ所のファヴェーラに関する細部までが示されているという。

本書はフェルナンド・エンヒッキ・カルドーゾ元大統領とルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ元大統領にも贈られたほか、10月の選曲におけるすべての大統領候補者に贈られる予定。

「ファヴェーラに関するディベートは、A,B,あるいはCと、どの政党の旗となってもいけない。そう私たちは信じている。公職側にいる政府からは独立した立場での公共政策に関する議論などの中で、私たちはブラジル社会の旗とならなければならない」とメイレリス氏は語った。

ブラジル社会に関する人口統計は、現在1200万人がファヴェーラに暮らしていることを示していて、これは5番目に大きな”州”といえる。

「その場所は大体、都会にあり、89%は大都会の中にあります。ファヴェーラは、大きな街に出現する現象です」(メイレリス氏)

同書の研究によると、貧困地区の住民は黒人と若者が多いとされている。

その一方で、ファヴェーラの住民たちは、公共サービスの向上の重要性についても語った。

「ファヴェーラの住民の所得は向上していますが、公共サービスの質は、進歩はあるにはありましたが、所得の向上には追いついていません」とメイレリス氏は主張した。

セキュリティとインフラ整備、電気、公衆衛生、健康がとても重要。

また、保育園が足りないのも問題として指摘されている。ファヴェーラには他のどんなコミュニティよりも母子家庭が多い。

統計によるとファヴェーラの家の中の43%は女性が家の主人で、その中の21%が独身女性だった。住民たちに、サービスについて0から10までの間で何点かを訪ねた中で、交通機関は5.4、公立病院は5.05、セキュリティは4.28、学校は6.17となっている。

(記事提供/Agência Brasil、訳文/麻生雅人、写真/Tomaz Silva/Agência Brasil)
9月14日、「ファヴェーラと呼ばれる祖国」の出版発表イベントにはジウマ大統領が出席した