ブラジル、殺人事件の被害は10分に1人

2014年 11月 13日

人権委員会

(11月)11日に2013年の(ブラジルの)治安の実態に関する各種の報告が発表され、殺人事件の死者は5万3646人で10分に1人が犠牲になった事や、強姦では4分毎に犠牲者が出ている事が明らかにされたと12日付伯字紙が報じた。

13年の殺人事件の犠牲者の数は12年比1,1%増えたが、人口10万人当たりの死者の割合は27.4人から26.6人に減った。これは殺人事件の犠牲者の伸びが人口増加率より小さかったためだ。

人口増加率が犠牲者の伸びを上回ったのは2007年の集計開始以来、初めてだ。殺人事件の死者は男性93.8%、15~29歳の若者53.3%、黒人68%だった。

若い黒人男性が多いという傾向は刑務所の収監者の比率と似ている。13年末の刑務所の収監者は57万4千人で、その40.1%は未決囚だ。刑務所の収容人数は22万人分不足とされ、07年比10%増えた。

強姦に関しては、正式な被害届を出した犠牲者は5万320人だが、調査員達はこの種の事件の被害者は恥辱心や恐怖心を持つ事が多く、被害届を出すのは35%程度と見ている。

この比率に従うと、被害者の数は14万3千人に及ぶ可能性があり、4分に1人の女性が性的被害に遭った事になる。1年半前の法務省の発表によれば、伯国女性の7~8%は性的犯罪で被害届を出している。

12、13日付伯字紙やサイトでは、サンパウロ総合大学(USP)医学部の女子学生2人が11日に開催された聖州議会人権委員会の公聴会で構内のフェスタで強姦されたと証言した事や、聖州検察局が近年起きた性的犯罪や、女子学生や同性愛者に対する暴力沙汰について捜査を開始する事などを報じている。

同大医学部での性的犯罪や女性、同性愛者への暴力事件は学部内のフェスタや、新入生歓迎会で上級生が行うトロッチの一部として起きており、検察も強姦事件8件などを捜査する予定だ。

検察局のパウラ・フィゲイレド人権問題担当官は、「同大医学部での性的犯罪に関わり始めて以来、同種の事件は学部内に蔓延しており、人権侵害が日常化しているとの印象を拭えない」とし、事件後も脅されたり差別されたりする被害者がいる事や、大学側が被害者の訴えを取り上げようとせず捜査もしない事を懸念。被害者達は、大学がイメージ悪化を避けるために事件をもみ消し、情報が外部に漏れるのを防ごうとする動きがあったとも証言している。

同大医学部は12日、人権擁護センターを開設し、法律面や心身両面のサポートや公聴会などを行うと発表。警備の強化や、構内での酒類消費やトロッチに関する基準の確立と遵守などを推進する意向も表明した。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Roberto Navarro/ALESP)
写真は11月11日、サンパウロ州議会で行われた人権委員会での公聴会