ジウマ大統領への抗議運動を受けて。野党・民主社会党(PSDB)のカルドーゾ元大統領も罷免には否定的

2015年 03月 11日

エンヒッキ・カルドーゾ

ジウマ大統領は9日、8日のテレビ演説の裏で12州に渡って起きた抗議行動について、「罷免される理由がない」と一蹴した。

また、同大統領の最大の政敵である野党・民主社会党(PSDB)のカルドーゾ元大統領もジウマ大統領の罷免には否定的で、同党と抗議活動との関係を否定した。10日付伯字紙が報じている。

ジウマ大統領は9日午後、大統領府で行われた式典後に報道陣から前日のパネラッソ(鍋を叩いての抗議活動)について尋ねられ、「大統領罷免に該当するような理由はない」「大統領選挙は終わったことで、3次投票はない。国民は民主主義のルールに従うべき」と答え、抗議行動に屈しない姿勢を打ち出した。

また、社会運動団体が15日に予告している全国的なマニフェスタソン(抗議デモ)に関しては、民主主義の立場から開催は自由としながらも、暴力が起こらず平和裏に行われることを望んだ。

フォーリャ紙によると、連邦政府は8日のテレビやラジオでの演説が否定的な反応を呼び起こしたことで、13年6月のコンフェデ杯の時のような連続的な抗議行動が引き起こされるのを恐れているという。

また、9日朝の一部閣僚との会議で、大統領は8日の演説に対するブラジル北東部の反応を気にしていたという。同地方はジウマ氏が大統領選に勝利した決め手となった地区だが、内部調査によると、ジウマ氏に票を投じたことを後悔している人が増えてきているからだ。

労働者党(PT)も9日、パネラッソを重視しない姿勢を取った。党中央部通信部長のジョゼ・アメーリコ・ディアス氏は、これは国民の自発的行動ではなく。野党が挑発したと見なし、パネラッソは高級住宅地を中心に起きた「ブルジョアの反乱」だという。

一方、カルドーゾ元大統領は9日、エスタード紙の取材に、8日や15日の抗議行動は庶民の中から起きたとの見解を表明した。ペトロロンや景気後退などの諸問題への懸念を示したが、「大統領弾劾は望ましいことではなく、誰もそれを先導しようとしていない」と語った。

この見方は同党の共通見解で、昨年の大統領選の副候補だったアロイージオ・ヌーネス上議も「大統領は苦労すべきだが、辞めるべきではない」と語っている。

元大統領は、議会でジウマ大統領の最大の反対勢力になっている民主運動党(PMDB)に関して、「連邦政府の意思決定に意見を取り入れられていない」からと問題を分析。PSDBとPTとの対話の可能性については、(PDBが政治や経済、社会問題の解決策について話し合いたくても)「ルーラ前大統領が対話を拒んでいる状況では無理だ」と語った。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Renato Araujo/ABr)
フェルナンド・エンヒッキ・カルドーゾ元大統領