全国同時多発デモ、ブラジリアでは約4万5000人が平和的に抗議
2015年 03月 16日3月15日(日)にブラジル全国で起きた大規模抗議デモ。首都ブラジリアでは朝9時ごろからデモがはじまり、軍警察によると約4万5000人が抗議行動に参加したという。「オ・グローボ」が伝えた。
朝早くからブラジリア国立博物館の前に集まっていた人々は、10時30分には国会議事堂へ向かって行進をはじめたという。主催者はデモの参加者は15万人だったとしているとのこと。
デモの参加者の多くはブラジルの国旗の色の衣裳を身につけ、汚職の撲滅やジウマ大統領の弾劾を訴える横断幕を手に行進、政治や経済の状況改善を叫んだ。また、ときおりデモ隊は国歌も歌っていたという。
抗議のほとんどは国会議事堂の前で行われた。池の中に入って国旗を振るものもいたほか、「”盗み”はもうたくさん」、「汚職のない国に」といったスローガンが掲げられた。軍警察は非常線を設定して警護、抗議活動は平和的に行われた。
デモには、ブラジルの黄色と緑のブラジルカラーの服を着て、家族全員で参加する人が多かったという。年金生活を送るレイヴァ・フィウザさんも家族と共にデモに参加した。
「ジウマには去って欲しい。彼女は嘘つきだし、これ以上もう嘘に我慢はできない。すべては変わる。彼女は中産階級をずたずたにしたんだ。国で雇用を生み出しているのは中産階級なのに」(レイヴァ・フィウザさん)
レイヴァさんの孫で7歳になるイザベラ・フィウザちゃんも「彼女が話すことは全部うそよ」とレイヴァさんに続いた。
抗議の声の多くはジウマ大統領の弾劾を求めた。しかし、デモの主催者のひとりで、「ブラジルを選択する」運動のコーディネイター、パウロ・パガーニ氏はこのテーマについて、弾劾については賛成ではないと語った。
「今は、彼らが失ったもの...倫理、敬意、そして特に公共のためのケアを取り返すときです」
「路上へ出よう」運動によって行進に鉄格子の檻が持ち込まれ、檻の中には最高裁判所の調査や、ペトロブラス贈収賄事件の捜査「ラヴァ・ジャット作戦」で名前が挙がった人たちの写真が貼られていた。
「調査によってすべてが明らかになり、法の下に正しく裁きが下されることを願います。それが大統領の弾劾を意味するなら、私は弾劾に賛成します」と、「路上へ出よう」運動のオーガナイザーで鉄格子をデモに持ち込んだ発案者のひとり、マリア・ルイーザ・グイドさんは語った。
ペトロブラス贈収賄事件を追及するセルジオ・モーロ判事とホドリゴ・ジャノー司法長官は、デモ隊に、その姿勢や勇気を賞賛された。しかしヒカルド・レヴァンドウスキー長官や、労働者党(PT)とかかわりの深いジアス・トフォリ判事など、最高裁判所の何名かの判事は批判された。
またデモの参加者は誰も政党の旗は手にしていなかった。デモ隊の近くに労働者党(PT)の旗を持った男性がいたが、混乱をさけるため軍警察によってデモから遠ざけられた。
この日は通りの安全を確保するため、大統領官邸だけでなく各省庁に向かう道は軍警察によって閉鎖された。
午後13時ごろ、デモの主催者たちはブラジリアの池に約3000の白いバラを投げ入れ、デモ隊の一部の人々は軍警察官に花を贈呈した。デモは解散となり、参加者たちは国歌を歌いながら帰路についたという。
(文/麻生雅人、写真/Lula Marques/Fotos Públicas)