読売ジャイアンツ、平岡コーチ(30)をブラジルへ野球の指導者として派遣

2015年 08月 12日

ブラジルと言えばサッカー大国として知られるが、近年ではバレーボール、水泳、柔道など幅広いスポーツで、ブラジル人アスリートたちが世界を舞台に活躍している。

野球に関しては、メジャーリーグで一流捕手の仲間入りをしたクリーブランド・インディアンスのヤン・ゴメス選手を特筆すべきだろう。昨シーズン(2014年)は21本の本塁打を打ち、総額2300万ドルの6年契約をチームで結んだが、今シーズンはケガに悩み、213打数、打率は.225、HR 7本、打点26と、昨年の成績からすれば低迷している様子。復調を願うばかりだ。

メジャーリーグ初のブラジル人投手として2013年に名を馳せたアンドレ・ヒエンゾ選手は、その後マイアミ・マリーンズに移籍。2015年は2か月間、マリーンズ傘下のマイナーリーグ、トリプルAのニューオーリンズ・ゼファーズに降格所属したが再びマリーンズに復帰している。

大リーグで活躍する選手が登場するにつれ、ブラジル国内でも野球人気はじわじわ高まりを見せている模様で、メジャーリーグもまたブラジルを将来有望な市場と考え、毎年同国でエリートキャンプも実施している

そんなブラジルへ、日本の読売ジャイアンツも動き出した。8月10日、同球団は、サンパウロなどで開催される野球教室に平岡政樹コーチ(30)を派遣すると発表した。

球団によると、日ブラジル外交樹立120周年及び、在サンパウロ日本国総領事館開設100周年を迎える今年(2015年)、ブラジル中西部日伯文化協会の伊沢祐二会長からの、野球指導者を派遣してほしいという依頼を受けて、平岡コーチの派遣が行われる運びとなったという。ブラジルでの野球普及活動を通して両国の友好協力関係がさらに強固になることを願い、ひいては青少年の健全育成に貢献したいとしている。

もともとブラジルにおける野球の普及に日本や日系社会が果たしてきた功績は大きい。2000年に現地法人のヤクルト商工の援助を受けて開設された「野球アカデミー」からも、数多くの選手が育っている。古くから日系社会の中で絶大な人気を誇る読売ジャイアンツからのコーチの派遣は、ブラジルでのさらなる野球の普及拡大にはずみをつけてくれそうだ。

また読売ジャイアンツは、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックを控えるブラジルで、日本の国民的スポーツである野球の普及に努めることで、2020年の東京・オリンピック・パラリンピックで、野球・ソフトボールが正式種目に採用される機運を盛り上げたいという狙いもあるという。

平岡氏は現地時間の8月28日(金)~8月31日(月)にマットグロッソ、ブラジリア、サンパウロで、小、中、高校生を対象にした野球教室を実施する予定。

「サッカーの盛んな国で野球の魅力を伝え、日本とブラジルのスポーツ文化の交流になるように頑張ります。また、日本野球の精神的な面も紹介できたら良いと思っています」(ジャイアンツアカデミー・平岡政樹コーチ(元巨人軍投手))。

(文/加藤元庸)