ブラジルは風味も香りも多種多様(3)ブラジルに最大公約数の風味はない!?

2015年 11月 11日

ムケッカ

広大な国土を有するブラジル。このような嗜好性の違い、食材の組み合わせが幾重にも広がりを見せており、これまで記したのはほんの一例に過ぎない。

食品メーカー各社は、商品を地域に合わせた風味にするか、あるいは、各地の嗜好を加味して最大公約数的な風味にするかなど、苦労されているのではないかと想像できる。

またメーカー各社は、ブラジル人の食に対する保守性にも頭を悩ませているのではないだろうか。近年のスマートフォンの普及などの事例から、新しいもの好きな一面を見せるブラジル人も、食に関する捉え方は逆のようだ。

高所得層は箸を上手に使いこなし日本食を愛する等、外の食文化を受け入れ易い傾向にある。しかし、消費の多くを支えている中~低所得層は、大家族で固まって同居し、お米、煮豆を一度にたくさん作って毎日食べる。外でもコーラかガラナ、あるいはビールを飲むことが基本習慣である。

経済的な事情で選択肢が少ないことに一部起因していると見られ、今後、人々がより豊かになった場合、新しい商品や風味への許容も拡がりを見せていくのではないか。

弊社(高砂香料ブラジル)は、アジア No.1 香料メーカーの南米拠点として製品に日本の技術を反映させると同時に、現地の嗜好に合わせるべくブラジル人調香師(パフューマー)が食品香料の開発を行っている。

また、香水をはじめとする香粧品分野ではフランス人、ブラジル人の調香師(パフューマー)が開発を担当。中南米に於ける巨大市場であるブラジルの「フレーバー」と「フレグランス」双方に大きな期待をかけている。

ブラジル特報2015年11月号

※「ブラジル特報」は日本ブラジル中央協会が発行している機関紙。隔月発行、年6回、会員に無料配布される。日本ブラジル中央協会への問い合わせは、E-mail info@nipo-brasil.org、TEL:03-3504-3866、FAX:03-3597-8008 まで。

(文/樫村覚人、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Tatiana Azeviche/Setur)
写真はバイーア州の郷土料理である魚の見込み料理「ムケッカ・ジ・ペイシ」。サルヴァドール市は2015年3月29日に市政466年を迎えた