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ブラジル石油公社、レアル安で第3四半期は約1200億円の赤字。反面、純利益が対前年比10%増の企業も

ペトロブラス

ブラジルの有力紙「エスタード・デ(ジ)・サンパウロ」の11月13日(金)づけの紙面は、ブラジルの現況を映し出す内容で非常に興味深かった。

まず、経済面のトップ記事は、国営石油公社ペトロブラスの業績で、「レアル安の影響を受けて、第3四半期は37.6億レアル(約1200億円)の赤字」と見出しにあった。原油を輸出しているペトロブラスにとってレアル安は有利なはずなのに、なぜ為替の影響で赤字なのか?

債務のほとんどが外貨建てで、その利子の支払いがレアルの下落で膨らみ、54億レアルも増えたらしい。まさに赤字はすべて為替のせいということになる。しかも、利子返済の追加分だけで54億レアルもあるというのは異常である。

同紙によると7-9月の3カ月間で有利子負債が780億レアル増加し、合計は驚くべきことに4023億レアル(約12兆8000億円)に達した。世界一債務が多い石油会社とのことだ。国営企業でなければ、とっくに潰れているだろう。

消費も相変わらず、上向く気配がない。

例年は10月末ぐらいから始まるクリスマス商戦も、気の早いところは9月末からスタート。その背景には、小売売上高が前年比で9月まで7カ月連続のマイナスと減速が続いていることが挙げられる。とりわけ高額商品の売れ行きは鈍い。

一方、電気代・水道代は数十%単位で上昇。物価上昇率は10%目前に迫り、昨年28.2%だったローン金利が足元では37.4%まで上がっているため、人々は消費行動に踏み切れない状況になっている。

しかし、こんな厳しい経済状況でも儲かっている企業がある(次ページへつづく)。

(文/輿石信男(クォンタム)、記事提供/モーニングスター、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil (04/11/2015))
写真は11月4日、リオデジャネイロ、ペトロブラス本社。この時期ストライキが行われ生産減が報じられていた

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