「経団連・CNI共同報告書」提出へ。日本ブラジル間EPA締結や査証の相互免除などを提言
2015年 11月 27日日伯両国間の経済関係の強化を図ると共に、貿易投資フローの自由化のための法的基盤を提供することを目的に、ブラジル全国工業連盟(CNI)と日本経団連は、日伯両国間の包括的な経済連携協定(EPA)の実現に向け交渉を開始するよう提案し、その枠組づくりに取組むことに合意した。
共同報告書は(ジウマ・)ルセフ大統領訪日(12月2日~4日)に合わせ、両国政府に伝えられる。全5章で構成されるが、主に第3章の「包括的な日伯EPAの実現に向けたロードマップ案」と第4章の「具体的な二国間イニシアティブ」について紹介する。
~日伯EPA(第3章)~
両国間の経済関係の強化を図ると共に、貿易と投資の自由化のための法的基盤を提供するため、日伯EPAは包括的で、かつ以下の問題に対処するものでなければならない。
●物品貿易
野心的かつ包括的なEPAを実現するため、協定発効後10年以内に貿易量/額ベースで90%以上の関税を撤廃すべきである。いかなる製品も自由化スケジュールからアプリオリに除外すべきではなく、EPAは輸入割当の完全撤廃を目指すものでなければならない。
交渉の過程においては、両国とも、最もセンシティブな品目の扱い方について、いくつかのオプションを検討すべきである。センシティブ品目のリストは、一つのセクターに集中しないように作成する必要がある。
日本は、自動車、自動車部品、鉄鋼、機械、電子機器、化学製品、建設資材・機器の関税撤廃に関心を示している。他方、ブラジルにとって日本における貿易自由化が最も望まれる分野としては、牛肉・内蔵、トウモロコシ、一部の果実類、砂糖およびエタノール、大豆油、皮革、履物、加工食品、木材、繊維製品などが挙げられる。
●貿易の円滑化および税関手続
両国間の貿易の円滑化を図ると共に、EPA が意図する貿易特恵の恩恵を両国の企業がフルに活用することができるように、日伯両国は、世界貿易機関(WTO)バリ閣僚会議において合意された「貿易円滑化協定」(TFA) の実施に取組むべきである。
●規制問題:衛生植物検疫措置および貿易の技術的障壁
EPAには、WTOの「SPS協定」以上の野心的なSPS(衛生植物検疫)条項を設けるべきである。また、SPS措置は科学および国際規格に基づくものでなければならないという要件に十分対応するものでなければならない。この目的を達成するため、EPA では、「SPS 協力に関する小委員会」を設置するものとする。当該小委員会は、両国の専門家によって構成される。
●知的所有権
知的所有権の保護は、投資とイノベーションを促進する上で不可欠である。両国は、WTOの「知的所有権の貿易に関連する側面に関する協定」(TRIPS)の規定を遵守し、知的所有権に対し無差別の保護を与えるものとする。
●天然資源とエネルギー
原料やエネルギーへのアクセスは不可欠である。両国間貿易においては、輸出規制措置や輸出関税は避けるべきである。制限(現地調達率要件、外国資本の上限など)を、適宜、撤廃または軽減し、天然資源やエネルギー開発に関連する共同プロジェクトや技術移転を促進すべきである。
(次ページへつづく)
(文/中富道隆、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Luiz Chaves/Palácio Piratini)
8月31日~9月1日、ポルトアレグリ市で日本経団連とブラジル工業連盟(CNI)による第18回日本ブラジル経済合同委
員会が開催された。期間中、日本ブラジル二国間EPAに関して分科会方式で優先分野が討議された。写真は9月1日、州政庁ピラチニ宮に日本の経済界の面々を迎えたジョゼー・イヴォ・サルトリ・リオグランジドスウ州知事