「経団連・CNI共同報告書」提出へ。日本ブラジル間EPA締結や査証の相互免除などを提言

2015年 11月 27日

国際消費者機構(CI)第20回世界大会

~二国間の具体的イニシアティブ(第4章)~

EPAは、その対象範囲や規定が包括的かつ詳細でなければならない。だが、両国間の経済関係の発展の妨げとなる障害がいくつか存在しており、これらについては、EPAに付帯する個別の協定の交渉を通じて克服できると考えられる。これらの協定の中には、EPA に関する交渉が妥結した暁には、EPAに組み入れることができるものもある。

これらの協定の対象範囲および一般的内容として、下記を提案する。

●二国間租税条約(BTT)

ブラジルと日本は1967年3月にBTTを締結し、1976年3月の議定書によって修正された。同条約は、二重課税の回避と課税制度の予測可能性の保証を目的としたものである。それ以後、日本からブラジルへの投資が大幅に拡大されるとともに、投資の新たな様式が考案され、ブラジルの課税制度に変更が導入された。

この取り組みによって恩恵を受けるのは外国投資家だけではない。例えば、SISCOSERV の統計によると、2014年に、ブラジルは、8億7,100 万米ドルのサービスを日本から輸入した。これらのサービスの多くは、ブラジルの産業界によって消費されている。ブラジル・日本間のBTTについては、再検討を行って規定を改定するとともに、条項の解釈に関連して不確かさを排除する必要がある。

●査証の相互免除に関する協定

ブラジルと日本は、短期滞在査証の相互免除に関する協定の締結のための交渉を始めるべきである。2014年12月現在、日本は、67の国と地域との間で査証相互免除協定を結んでいる。また、2015年6月現在、83の法域のパスポート所有者が、最大90日間の観光または商用目的でブラジルに入国する場合(特に指定がない場合)、査証を取得する必要がない。

また、2011年に「商用目的の数次入国査証の発給の円滑化に関する覚書」が締結されて以来の成果も、恒久的かつ透明性のある手続きを通して、新協定とともに一括して確立すべきである。

●学位、証明書、その他の職業資格証明の相互承認

学位、証明書、その他の職業資格証明の相互承認によって、両国間の経済関係を強化できる可能性が高い。ブラジルと日本は、1961年に、日伯文化協定を締結しているが、当該協定は、学位や資格証明書の相互承認の円滑化・簡素化を進めるため、規格・基準の審査を目指すものである。

●結論および勧告

過去15年間の両国間における貿易および投資のフローは堅調だったと言えるが、ブラジルと日本の間のさらなる経済協力を推し進めることができる余地が多分に残されている。

(文/中富道隆、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Elza Fiúza/Agência Brasil)
12月2日に来日が予定されているジウマ・ルセフ(ルセーフ)大統領。写真は11月19日、ブラジリア。国際消費者機構(CI)第20回世界大会の開会式にて

ブラジル特報2015年11月号

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