ブラジル人が一緒に働きたいと思う上司像とは?(1)

2015年 12月 1日

メリョール誌 ブラジル

外国人を部下に持つことになるビジネスマンにとって、外国人部下とどう付き合うかについて、情報収集に苦慮するケースは少なくないのではなかろうか。

そんな上司たちに朗報となる調査結果が今年(2015年)、日本の調査機関から発表された。発表したのは、リーダーシップと組織内コミュニケーションの調査に強い「コーチング研究所」(東京都千代田区。以下「CRI」)だ。

『組織とリーダーに関するグローバル価値観調査』と銘打って行われたCRIの調査では、15か国(地域)の会社等の法人組織で働く1500人(各国100人ずつ)の非管理職を対象者としており、調査対象国(地域)はオーストラリア、ブラジル、中国、香港、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、ロシア、シンガポール、スウェーデン、タイ、イギリス、アメリカ合衆国となっている。

調査結果をまとめたレポートは3回にわたってCRIのウェブサイトに掲載されている。Part1では同社の許諾を得てその第1回目レポート、『リーダーに求められる要件とその国際比較』を取り上げ、ブラジル、日本、調査対象国(地域)平均を、比較してみようと思う。

調査では、まず調査対象者に「組織において、優れたリーダーとはどのような人だと思うか」を聞き、18の資質から特に重要だと思うものを6つ選択させている。選択率の高かった項目が『優れたリーダー』、つまりは『理想の上司』が持つ資質として上位に現れることになる。

『理想の上司』イメージに関係が深い資質を、ブラジル、日本、調査対象国(地域)平均の順にランキングで見ていきたい。

<ブラジル>
1. 責任感が強い
2. 謙虚である
3. 人を鼓舞する
4. 自信がある
5. チーム力を高める

<日本>
1. 責任感が強い
2. 人の話を聞く
3. 決断力がある
4. 人を育成する
5. 常に学んでいる

<調査対象15か国(地域)平均>
1. 責任感が強い
2. 人を鼓舞する
3. 人の話を聞く
4. 自信がある
5. チーム力を高める

各国の理想の上司とされる人物像が浮かびあがっただろうか?

この調査が興味深いのは、実際に『よい上司』として評価されている人の資質は何かを明示し、『理想の上司』イメージと現実の『よい上司』を対比できる形でデータを提示している点だ。

CRIは調査対象の1500人から「あなたの会社のリーダーは、あなたからどう見えているか」という質問に対する回答を得ている。具体的な回答方法は、特定のリーダーについて上記と同じ18の資質のレベルにチェックを入れ、最後にそのリーダーに対する総合評価を付ける、というものだ。

総合評価が高いリーダー、つまりは『よい上司』がもつ資質のうち、高く評価されている項目は下記のとおりとなった(次ページへつづく)。

(文/麻生雅人、写真/Reprodução)
写真は日本の調査機関が発表したレポートを掲載しているブラジルの人材開発専門誌「メリョール」2015年11月号

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