ブラジル人が一緒に働きたいと思う上司像とは?(3)

2015年 12月 2日

上司と部下

まずは量的な面である「会話の頻度」を測った分析データがある。

調査対象者は上司との会話の頻度について「ほぼ毎日」「週に数回」「週に1回」「週に1回未満」のうち一つを選択回答している。

その結果、上司との関係が良好だと答えた人が最も多かったインドネシアで「ほぼ毎日」と答えた人は約4割で「週に数回」を含めると7割強となっている。これは「ほぼ毎日」と「週に数回」を足した割合でみると、調査対象の15か国・地域の中で11位、と決して高くはなかった。一方、ブラジルは6位、日本は4位だった。

ただ、インドネシアと日本は例外のようで、その他の国(または地域)では上司との関係が良好だと答えた人の順位と上司との会話の頻度の順位にさほどの差がなく、上司との関係と会話の頻度は一定の関連性があることが読み取れる。

さらに調査では、会話の質についての分析が続いている。

会話の質を測る質問「上司と部下のどちらが長く話しているか」について、調査対象者には「上司」「部下」「ほぼ同じ」の3択で答えてもらっている。その結果、「ほぼ同じ」と回答した人の数と「会話の充足度」の高さに強い相関関係があることが判明したという。一方通行ではないことが会話の充足感を高めるということがデータでも裏付けられたという。

ちなみに充足度の量・質両面で下位グループにはアジアの国が目立ち、両方とも最下位は中国だった。関係の良し悪しと会話の充足度の相関関係が最も顕著に表れている国と言える。

一方日本では、会話の頻度は高いものの、上司が話している時間が長いという結果が出ている。上司の一方的な発話が会話に対する充足度、ひいては関係の良好さに影を落としていることが読み取れる。

ただ、ブラジルに関して言えば状況は少し異なる。上司が話している時間が長いと感じている人が多い(5割超)にも関わらず、会話の充足度が高く、上司との関係性も良好と感じている人が多い。他の国(地域)の調査の結果から読み取れる傾向と一致していない。このギャップの裏にはいったい何があるのだろうか? (次ページへつづく)

(文/麻生雅人、写真/acworks、データ提供/CRI)