日本企業が、ブラジルで都市鉄道事業を推進
2015年 12月 11日海外交通・都市開発事業支援機構(以下「JOIN」)は、三井物産及び西日本旅客鉄道(以下「JR 西日本」)とともに、ブラジルにおける都市鉄道4事業に参画するため、 同事業に対し今後約56億円の出資を行うことを決定、国土交通大臣の認可を得たことを12月9日づけで発表した。
同社によるとこの事業はオデブレヒト・モビリダージが主体となって進めていくという。オデブレヒト・モビリダージは、ブラジル最大級の多業種による複合企業集団であるオデブレヒト・グループと、三井物産、JR 西日本、JOIN からなる日本グループが、共同出資している企業とのこと。
計画されている4事業は、1) リオデジャネイロ州都市近郊鉄道(スーペルヴィア、開業済)、2) サンパウロ地下鉄6号線(2021年開業予定)、3) リオデジャネイロ市 LRT(次世代型の軽量路面電車、2016年開業予定)、4) ゴイアニア市 LRT(次世代型の軽量路面電車、2018年開業予定)。
JOINは、2014年11月から本事業への投資を進めている三井物産の持ち分の一部を、JR西日本と同時に取得する形で本事業へ参画したとのこと。
JOINは今後ブラジル各地の州・市政府などとの交渉の円滑化を図り、日本の事業者のリスク低減に資する。また、我が国の鉄道運営に関するノウハウを活用し、技術者の派遣、現地技術者の人材育成を行うことにより、安全性・サービスの向上を図っていくとしている。
本事業は、現地法人化されておらず、本店が日本にある企業(第三国で法人化されている日系企業の支店、駐在員事務所、出張所なども含む)による本格的な海外旅客鉄道事業となるという。これまで日本の鉄道事業関連の海外進出は、車両や信号機器などを輸出する分野では実績を積み重ねているものの、鉄道事業者による海外旅客鉄道事業への本格的な参画はなかったとJOINはいう。
JOINは、同社の支援及び JR西日本の事業参画により、海外鉄道運営の実績が蓄積され、今後の日本の鉄道事業者による海外展開の促進に資することが期待できるとしている。
海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)とは、海外のインフラ市場への日本企業の参入を促進するとともに、これに伴う日本企業のビジネスチャンスを拡大するため、海外インフラプロジェクトに民間企業と共同で出資を行うほか、相手国政府等との交渉を行うこと、日本の技術と経験をプロジェクトに活かすための人的支援を行うことなどを役割として、2014年10月20日に、政府及び民間企業の出資により設立された企業とのこと。
(文/加藤元庸、写真/GERJ)
写真は2014年、リオデジャネイロ市で運行されているスーペル・ヴィア