マイナンバー制度をすでに活用しているブラジルで起きている問題
2015年 12月 17日日本でもいよいよ総背番号制であるマイナンバーが始まったが、ブラジルではかなり前から導入されており、個人も会社も各々ひとつの番号で管理されている。
日本では、マイナンバーとか背番号制などというあいまいな名称だが、ブラジルではずばり「納税者番号(CPF)」と呼ばれている。
この納税者番号がなければ、ポストペイド(通話料金後払い)式の携帯電話も契約できなければ、アパートの契約も結べず、当然銀行口座も開設できない。個人も企業も、この納税者番号ですべての銀行口座から、税務署、社会保険や労働保険などに登録をされており、政府はすべてのお金の流れを把握できるようになっている。
さらに、オンラインで支払いから確定申告までできるようになっており、システム化も見事に出来上がっていて、天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にしてもらさない徴税システムになっているのだ。
ブラジルは請求書および領収書は銀行のシステムに入って、銀行を通して発行することになっている。少額で支出先が明確なもの以外は、この正式な領収書しか税務署は認めない。しかも支払い時点で税金も引かれるので国としては取りっぱぐれがなく、その情報が税務署にも流れ、かつデジタル化されているので政府には好都合である。
徴税システムとしては、日本より進んでいるといえる。しかし、問題は、運用のされ方にある。
このシステムは逆側からみれば、企業や個人はかなりがんじがらめにされているといえる。デジタル化により便利な面もあるが、素直に税金を払っているとまったくお金が残らないので、個人も法人もこれをかいくぐろうとするのだ(次ページへつづく)。
(文/輿石信男(クォンタム)、記事提供/モーニングスター、写真/Paulo Pinto/Fotos Publicas)
ブラジルでは、納税者番号がないと料金後払い方式の携帯電話契約もできない。写真は2015年10月、ブラジルで発表されたASUSの新機種Zenfone Go