フォーミュラEセカンド・シーズン、第4戦。ピケJr.巻き返しなるか

2016年 01月 30日

ネウソン・ピケjr.

南米が舞台となっているFIAフォーミュラE選手権のセカンド・シーズン、第3戦と第4戦。その第4戦が2月6日(土)、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにて開催される。

現在、総合ドライバーズランキングで15位と低迷しているファーストシーズン覇者ピケJr.は、果たして巻き返し成るか!?

ウルグアイで行われた第3戦を振り返っておこう。

第3戦は、第1戦、第2戦で連続してポールポジションを獲得するなど絶好調のセバスチャン・ブエミ(ルノー e.ダムス)が今季2勝目を挙げた。

ブエミは5番グリッドからのスタートとなったが、スタート直後のシケインで順位を1つ上げ4位に付けると、わずか9周目でポールポジションからトップを守ってきたジェローム・ダンブロシオ(ドラゴン レーシング)を抜いて首位に立った。

しかし17周目でサム・バード(DSヴァージン レーシング)がコース上でストップして、リタイヤしたため、その影響でフルコースイエローの措置がとられた。一旦はリードが帳消しになったブエミは無線で怒りを露わにしたが、リスタート後は、他を寄せ付けない走りを見せた。最後は2位のライバル、ルーカス・ディ・グラッシ(ABTシェフラー アウディスポーツ)に3.5秒差をつけて堂々の優勝を飾った。ブエミは通算成績も3戦2勝と好調だ。

ブラジル人選手3名は、ルーカス・ディ・グラッシが2位、ネルソン・ピケJr.が15位、ブルーノ・セナはリタイアで16位だった。

ピケJr.の不調について片山右京も「本来いるべき『主役』の立場でピケJr.が加わってきたら、終盤戦がもっともっと面白くなっていくと思う」と語った。

「ツインモーターという重さのハンディキャップがある中で、厳しいのかなと思っていたんですけど、チームアグリから経験豊かなヒューズ氏を引き抜いたり、ソフト面でもかなり改善がみられると思います。また、セッティングでもデータが積み重なってきて、タイムも全体の5位というのは、素晴らしいと思いますね」(片山右京)

そんな今シーズン、ディ・グラッシとブエミの2人がチャンピオンシップを争っているという象徴的な一戦となっているとも。

「予選は、スーパーポールのシステムでディ・グラッシとブエミがミスをするというまさかの展開。その影響からハプニングが起こるのかな? と思っていましたが、終わってみれば、ブエミはコース上でオーバーテイクを繰り返して堂々の優勝。3戦2勝、3ファステストラップ2ポールという、とんでもない快進撃です」(片山右京)

しかし、チームタイトル争いという面ではまだまだ予断は許さないという。

「好調の2人ですが、そのチームメイト...ディ・グラッシにとってはアプト、ブエミにとってはプロストは苦しんでいたりします。アプトは下位(ドライバーズランキング現在12位/ABTシェフラー アウディスポーツ)に沈み、プロストはドライバーズランキング現在10位。そういう意味では、ポールフロントロウから行ったドラゴンレーシングは、順位は3位と落としましたけど、いいレースを見せていてチームタイトル争いは、中盤以降もまだ全く余談の許さない展開だと思いますね」(片山右京)

また、第3戦を終え、少しずつ強いドライバーや開発能力のある速いチームが、今シーズン序盤から明確になっている部分もあるという。

「ディ・グラッシが話していた通り、少しずつですが、開幕当初に比べればタイム差もなくなり、接近してきているのがこのレースで見えたと感じましたね」(片山右京)

そして、フォーミュラEならではのレース展開も見逃せないと語る。

「2015年は、ウルグアイのコースで、サスペンションにトラブルが起きたり、縁石を激しく越えた時にトラブルが起きて、リタイヤが目に付きましたよね。また、今回、第4戦が開催されるアルゼンチンのコースでもターン8からターン9の出口で多くのドライバーが接触して、サスペンションを壊したりで、トップが入れ替わりました。また、イエローフラッグでバッテリーに余裕があるのが分かった途端、一斉にもの凄い激しいバトルになるというフォーミュラEのレースの醍醐味が垣間見えました」(片山右京)

アルゼンチン会場については、第3戦でブエミが見せてくれたように、コース上でファンブーストがなくても、いろんな意味でチャンスがあるというサーキットだと語る。

「今回のコースレイアウトからいうと、シケインの前のブレーキングゾーンが広いので、3ワイドになったりコースの特性から言っても、激しいバトルが起きるコースだと思います。ピット作業や、マネージメント含めて、フォーミュラEの持っている本来の激しいバトルが見られそうで楽しみです」(片山右京)

チームアグリのプレジデント鈴木亜久里は「今シーズンは殆どのチームがパワートレインを変えてきているけど、第3戦までに信頼性も徐々に向上しているから、今まで以上に厳しい戦いになるんじゃないかな」と述べた。

レースは2月6日(土)、衛星放送で生中継されるほか、総集編が2月19日(金)に地上波(テレビ朝日)でも放送される。

2月6日(土) 第4戦
「テスト走行」 22時30分 CSテレ朝チャンネル2
「予選」  23時50分 CSテレ朝チャンネル2
「決勝」  深夜3時50分 CSテレ朝チャンネル2

大会ハイライト
2月9日(火) 23時 BS朝日
総集編
2月19日(金)深夜3時25分 テレビ朝日地上波

(文/加藤元庸、写真/Jose Mario Dias/Piquet Sports)
写真は2015年11月19日、ロンドンのサーキットでトレーニングを行ったピケJr.