エドゥ・ロボ、45年ぶりの来日。息子ベナ・ロボと共演

2016年 02月 25日

エドゥロボ

ブラジル音楽ファン、いや全音楽ファンにとって待望の来日公演がこの春に実現します。

ブラジルを代表するシンガーソングライター、エドゥ・ロボが、なんと45年ぶりに来日することが発表されました。

1943年8月29日リオ・デ・ジャネイロ生まれ。エドゥ・ロボことエドゥアルド・ヂ・ゴーイス・ロボはブラジルを代表する作編曲家であり歌手として知られています。

作曲家の父を持ち、幼少のころより音楽に親しんだエドゥは、ギターを携え作曲を始めたころにはすでに其の音楽的才能を存分に開花させていたようです。

10代にして当時のボサノヴァ・ムーヴメントに入り込み、ジョアン・ジルベルトやセルジオ・メンデス、ヴィニシウス・ヂ・モラエスらと交流を持つと、1962年に自身名義のレコードをリリースしデビューを果たします。

1965年には、当時の新人作曲家の登竜門だったブラジル・ポピュラー・ミュージック・ソング・フェスティバルで、エドゥが作曲した「アハスタオン」という曲をエリス・レジーナが取り上げ、一躍エドゥ・ロボの名はブラジルに知れ渡ります。

1967年には同フェスティバルで「ポンテイオ」を自身で歌い見事一位を獲得。シコ・ブアルキ、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ミルトン・ナシメントといったポスト・ボサノヴァ世代における代表的な存在として認知されるようになりました。

エドゥの音楽はボサノヴァに端を発しながらも、父の生まれ故郷でもあるブラジル北東部の伝統的な音楽–シランダやフレーヴォといった音楽を大胆に融合させることによって、西洋化の波に呑み込まれそうになっていたブラジル固有の音楽を、再びポピュラーソングのなかに出現させることに成功させました。

また不協和音を頻繁に用いた独特のソングライティングは、軍事クーデターによりブラジルを覆っていた重々しい雰囲気と見事にマッチしていました。決してわかりやすいだけでないエドゥの楽曲が当時のブラジルで求められたのには、こういった時代背景があったと言えるでしょうし、言い方を変えれば、エドゥの音楽はこの時代のブラジルの空気そのものだったように想像できます。

1969年には音楽の勉強のためアメリカ合衆国のロサンゼルスに拠点を移し、ボサノヴァ・シンガーとして知られるヴァンダ・サーと結婚。またセルジオ・メンデスのプロデュースでレコードをリリース。セルジオ・メンデスのバンドの一員として、1971年に初来日を果たしています。

2年間の滞在の後アメリカ合衆国から帰国したエドゥの音楽は、徐々に映画や舞台への比重が高まっていきました。とりわけ80年代以降は寡作になりましたが、同世代のシンガーソングライターであり、ブラジルを代表する詩人とも言えるシコ・ブアルキとは頻繁に共作し、音楽を担当した「オ・グランヂ・シルコ・ミスチコ」は大ヒットを記録。またアントニオ・カルロス・ジョビンとの歴史的共演盤「エドゥ&トム、トム&エドゥ」もブラジル音楽史に残る名作です。

1995年には「メイア・ノイチ」をリリース、その後しばらくリリースがなくなってしまいますが、決して彼の音楽的な才能が枯れたわけではありません。

2010年に久々のオリジナル作品「タンタス・マーレス」をリリースし健在をアピールすると、2014年には生誕70年を祝うライブ録音盤「70アノス」をCDとDVDでリリース。一流のミュージシャンにオーケストラ、更にはシコ・ブアルキ、マリア・ベターニアといった朋友を迎えたスケールの大きなサウンドは、ここ日本でも音楽評論家から賞賛が相次ぐなど改めてそのカリスマ性をアピールしました。

そんなエドゥ・ロボですが、1971年以来、日本での公演は実現しませんでした。

もともとコマーシャルな場を好む人間ではないことに加え、”超”のつく大物である彼を招聘するのは簡単なことではなかったのでしょう。そういったことを考えても、今回の来日公演はとても貴重な機会になることは間違いありません。しかもエドゥの信頼する超一流のバック・ミュージシャンを引き連れての来日です。もはや「見ない理由がない」とすら言えるでしょう。今すぐ予約することを心からオススメいたします。

そしてそして、今回は更にもう1つ嬉しいお知らせが。先述のエドゥ生誕70周年ライブにも登場している実の息子のベナ・ロボが、今回の来日公演でもゲスト出演します。

1972年生まれのベナもまた才能溢れるソング・ライティングとギターの腕前でブラジルでは高い評価を獲得する実力派。すでに4枚のCDをリリースしています。

ここ日本でも父エドゥはもちろん、父の朋友であるシコ・ブアルキやミルトン・ナシメント、更には今やブラジル一の売れっ子であるセウ・ジョルジも参加した1stアルバム「ナーダ・ヴィルチュアル」が輸入盤を扱うCDショップではロングヒットを記録。ブラジル音楽の伝統を踏まえつつも、ベナ・ロボの音楽の特徴でもある軽やかでアーバンな内容は今聴いても最高に気持ちのいい作品です。なおセウ・ジョルジは次のアルバム「サーバド」にも参加。こちらも名盤です。

4月5日(火)にはベナ・ロボだけのライブもあります。今現在のブラジル音楽を聴いている若い世代の方ならば、父エドゥよりもむしろベナ・ロボの音楽のほうがしっくりくる、そんな方もいることでしょう。こちらも併せて必見です。

4月4日(月) Billboard 東京 / Edu Lobo (スペシャルゲスト:Bena Lobo)
1stステージ開場17:30 開演19:00/2ndステージ開場20:45 開演21:30
港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F
TEL : 03-3405-1133

4月5日(火) 東京赤坂Bフラット / Bena Lobo
港区赤坂6-6-4 赤坂栄ビルB1/zip 107-0052
TEL : 03-5563-2563

4月6日(水) Billboard 大阪 / Edu Lobo (スペシャルゲスト:Bena Lobo)
1stステージ開場17:30 開演18:30/2ndステージ開場20:30 開演21:30
大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2
TEL : 06-6342-7722

(文/江利川侑介(diskunion/Unimusic)、写真/Divulgação)