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経済防衛行政審議会、ブラデスコ銀行によるHSBCブラジル買収を承認か

HSBC ブラジル

ブラジル経済紙「ヴァロール・エコノミコ」の電子版「ヴァロール」が4月1日づけで報じたところによると、同日、ブラジル経済防衛行政審議会(O Conselho Administrativo de Defesa Economica、以下「CADE」)がブラデスコ銀行(以下「ブラデスコ」)によるHSBCブラジル買収の承認を勧める意見書を発表したという。

これは買収合意に含まれる買収後のアクションプランの詳細が固まってきたことを受けて発表された。独占禁止法監視局はこの買収を推奨しないとの意見を示していた。

CADEの意見書発表の後、この買収はCADEの役員会で審議され、本会議にあげられる。

「CADEの上層部はHSBCブラジルの市場シェアは低いためブラデスコがHSBCを買収したところで実質的な影響はない、と見ている。一方で、自由競争への障害について言えば、買収当初は大した影響はないと思われていても、確認しうるレベルで問題点が見えているのであれば注意深く見守っていくべき」(CADE意見書より)

「介入による救済策の構造に不均衡な要素があるとはいえ、消費者にとってよりよい状態を保証しうる方法を選択し、市場の競争を促進することを重視するなら、この買収は無条件に承認されるべきではない」(CADE意見書より)

買収合意によれば、ブラデスコはこの合併に関してCADEの懸念を払しょくするため具体的なアクションプランを採用することとなっている。プランは全部で16あり、顧客の与信条件及び給与口座の取り扱いを引き継ぐこと、顧客対応体制および苦情件数指標の向上策の採用などが含まれる。

またCADEによれば、市場参加のありかたを刷新する取組を開始するにあたっては、ブラデスコに外部の人材と契約するよう要求しているとのことだ。アクションプランは市場操作を通じた市場支配力を計画的に行使するリスクを縮小することを目的とした項目も含まれている。

ブラデスコは2015年8月にHSBCブラジルを52億USドル(約5800億円)での買収を発表した。ブラジル中央銀行は今年1月初旬に買収案を承認したがCADEの調査が遅れていた。HSBCはその間、満期を迎えた顧客運用資産のつなぎとめなどの措置が取れず、他行にとってはHSBC顧客引き抜きのチャンスとなった。

CADEはブラデスコとHSBCに対して、英国HSBCがHSBCブラジルから受けていた提案の内容と、HSBCが提案の事実を否定していた理由についての情報提供を求めていた。

(文/原田 侑、写真/Antonio Cruz/Agência Brasil)

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