まるで高級ホテル! エンブラエル社、超富裕層向けジェット機発売
2016年 06月 11日。
「飛行機の内装である以上、快適で安全な飛行を妨げるものであってはなりません。その点への配慮は必須です。だからこそチームにはエンジニアが欠かせません」(ビーバー氏)
ビーバー氏は自動車業界の出身だが、航空機にはそれぞれの物語があるとよく口にする。そして唯一無二のデザインを実現するために顧客とよく話す。
同氏は炭素繊維で覆われたレーシングカーを持っていたかつての顧客を思い出す。その顧客の車に対する情熱に触れて、それを航空機に応用することを思いついたという。
「自動車製造業では何百万人もの顧客に向けた商品を作りますが、顧客の一人一人と会うことはありません。このエグゼクティブ向けジェットの市場では違います。顧客と直接話し、それを仕事に反映させるのです。この点にものすごくやりがいを感じます」(ビーバー氏)
どんなアイデアもすぐ試してみる。だいたい30分で顧客は自分のアイデアに対するシミュレーションが見られる。何百万通りもあるパターンの中からでも、90%以上の顧客はその日のうちに自分の飛行機のデザインを選びきるのだという。
エグゼクティブ向け小型ジェット市場の売上高は約1000万USドル(3500万レアル:約11億円)。「フェノン」は過去3年間、世界中で最も売れた航空機で、価格は標準機体で900万USドル(約9億7000万円)だ。
商用サイズの「ライネージ」はすでに標準機体で5500万USドル(約60億円)で成約している。現在「ライネージ」は全部で30体あるが、購入者の大部分は中東の顧客だという。値引き要求を防ぐため、顧客を引き付け続ける戦略を練り上げた。
フロリダ州にあるエンブラエル社での打ち合わせには予約が必要だ。打ち合わせは顧客の要望次第で2日以上にわたる可能性がある。これらの潜在顧客専用にフロリダの工業団地内に特別棟を設けた(次ページへつづく)。
(文/余田庸子、写真/Divulgação/Embraer)
写真は2015年に公開されていたフェノン100E