ブラジルの家庭料理が食べられる「ELISA(エリーザ)」 

2016年 09月 20日

フランゴ・コン・キアーボ

ブラジルで有名な日本料理店のオーナーだった方が、帰国して阿佐ヶ谷でブラジル料理店を始めた…という噂を耳にしたのが今年の春先のこと。気になっていたその店をようやく尋ねることができた。

店名は「エリーザ」。てっきりオーナーの名と思いきや、これはオーナーの娘さんの名前(エリーザ・ヤヨイ・イケダ・ニシカワ)から取ったそうだ。

オーナーの名前をきくと「忘れたわよ」と言うが、サンパウロでは知る人ぞ知る、木田洋子さんだ。所作が優雅で上品な木田さんは、ブラジルでは池芝流家元・池芝緑として50年近く日本舞踊を教えてきた。400人もいたという門下生とは、いまも交流が続いているそうだ。

父親が宮内庁の料理番だったという木田さん自身も料理が得意で、日本舞踊の家元を務めながらサンパウロで和食レストラン「たまゆら(玉響)」を17年間、経営していた。店は帰国の際にブラジル人に売り渡してきたとのことで、現在もサンパウロにあるようだ。

エリーザ ブラジル料理

そんな木田さんの料理はすべて美味しくて、出てくるものすべてを平らげてしまった。お店自体は、一見すると、昔よくあったスナックのような雰囲気だが、れっきとしたブラジル料理店。燦然とブラジル国旗も飾ってある。

料理の中では特にフェイジョン・コン・アホース(味つけフェイジョンかけごはん)が最高だった。にんにくの味はしっかりしているのににんにく臭さを強くは感じさせないのは、すり下ろしたにんにくをオリーブオイルでジュッと炒めるからだそうだ。カレーライスを食べるようにペロッと平らげてしまうと、「ちょっと、よく噛みなさいよ」と、昔、お袋に言われていたような言葉が飛んでくる。そんな木田さんのキャラクターに惹かれて常連になる人もいるようだ。

フランゴ・コン・キアーボ(鶏肉とオクラを煮た料理)は、つけ合わせがマンジョッカではなくポテトフライだったことに一瞬ガッカリしたが、言われるままに料理とポテトを一緒に食べてみたらこれがびっくり、絶妙なコンビネーション。

エリーザ

パステウ、コシーニャ、ボリーニョ(コロッケ)などサウガジーニョ(塩味のスナック類)も充実している。ホカホカのひき肉入りパステウは具に入れたオリーブの味が効いている。他にもメニューには、パルメジアーナ、パウミット(椰子の芽)のサラダ、エスペチーニョ、ピッカーニャなどがある。

シュハスコとはまた違った、日常的に食べられているブラジルの家庭料理が美味しく頂けるというのも貴重だが、「ブラジル人は赤い魚は食べないから、こんな大きなタイが凄く安く手に入るのよ」などと、木田さんのブラジルでの思い出話が聞けるのも楽しい。

「ELISA(エリーザ)」
東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-27-2 102
予約は、03-6768-3272
最寄駅は阿佐ヶ谷もしくは南阿佐ヶ谷

(写真下・文/加藤元庸、写真(上、中)提供/Seiichi Nishikawa)