労働者党の時代にひと区切り。ブラジル地方選で社会民主党が躍進

2016年 11月 7日

ジウマ大統領 2015年

おもな政党に所属する市長の人数は下記(ニュースサイト「G1」による10月3日時点の集計を基に作成)。

ブラジル民主運動党(PMDB):1028(2016年)←1015(2012年)
ブラジル社会民主党(PSDB):793(2016年)←686(2012年)
社会民主党(PSD):539(2016年)←495(2012年)
労働者党(PT):256(2016年)←630(2012年)

2003年、労働運動出身のイナシオ・ルーラ大統領が就任し、労働者党(PT)が政権についた。低所得者層に対する補助金の拡充など、手厚い社会政策を実行した政権は、堅調な経済成長にも支えられ、国民の高い支持を得た。

2011年に同党のジウマ・ルセフ氏が女性として初めて大統領に就いたが、ブラジル経済の低迷に伴い、支持率は次第に低下。労働者党(PT)が重視する社会政策は一転して、「バラマキ」との批判を浴びた。

国営石油公社(ペトロブラス)をめぐる大規模な汚職事件で、労働者党(PT)の中枢の関与が明らかになると、ジウマ大統領の支持率はさらに低下。今年8月末に弾劾手続でジウマ氏の辞職が決まると、労働者党(PT)政権は終えんを迎えた。ルーラ氏もこれまでに、3度にわたって訴追されている(次ページへつづく)。

(文/小島寛明、写真/Lula Marques/Fotos Públicas)
写真は2015年1月1日、ブラジリア。第2期ジウマ政権時代、新年のあいさつを行うジウマ大統領(左)。右はテメル副大統領(当時)