これがリアル”未来世紀ブラジル”の住宅!? パイロットプラン始動
2016年 12月 24日ブラジルの一般的な住宅といえば、一軒一軒が個性的なデザインを持ち、地域によってはピンク色の壁の家の横に黄色い壁の家が並んでいるなど色彩感覚も自由奔放…というイメージは、過去のものとなるかもしれない。
サンパウロ州の住宅都市開発公社(CDHU)がサンジョゼー・ド・ヒオ・プレット行政地域で計画を進めるパイロットプランで用意されている住宅団地のビジュアルは、近未来SF映画で描かれる管理社会を思わせる、画一的で整然とした姿のようでもある。
12月22日(木)、サンパウロ州は、同州のエネルギー・鉱物資源局、および住宅局による共同パイロットプランは、住宅都市開発公社(CDHU)の住宅団地に太陽光発電システムを設置すると公表した。写真は、この計画の住宅のものだった。
第一フェーズでは、太陽光発電システムはポンチス・ジェスタウ市の住宅団地のうち14住宅と、エイジアーリオ市の住宅団地のうち8住宅の住民のために無料で設置されるとのこと。
このほか同様なプロジェクトが、サンジョゼー・ドス・カンポス市の93の住民とサンパウロ市の104の住宅に対して開発される。
第二フェーズでは、価格を現在よりも低く抑え、住宅の最終価格への影響を最小限に抑えられるように、コストを企業が吸収することを目指す。州によると、不動産の総合価格は、住宅都市開発公社(CDHU)の計画の規格内に収まめられなければならないとのこと。
関係各局間の協力協定は21日(水)に調印された。また、このプロジェクトの資金は国家電気エネルギー局(ANEEL)の研究開発基金によって賄われるという。
見積もりでは、各家庭の発電コストは最大80%節約できるとしている。エネルギー・鉱物資源局が9月に発表したエネルギー収支報告によると、2015年にサンパウロ州の1600万世帯が消費エネルギーの30%を占有していたとのこと。
住宅都市開発公社(CDHU)は、これまでにも住宅団地に太陽光の加熱器を設置して経済的効果をもたらした実績があり、このシステムを利用した住宅は月間12.7MHWの消費電力量を削減したとのこと。ちなみにこの消費電力量は、31万1000人の人口を持つ一都市(例えばプレジデンチ・プルデンチ市など)のひと月の消費電力量に匹敵するという。
再生可能エネルギー事務局の調査(検証結果はエネルギー・鉱物資源局のホームページで閲覧可能)によるとサンパウロ州において太陽光で得られる電力容量は年間12TWhとのこと。州は、この数字は年間10TWhというサンパウロ市の1年の消費電力量に匹敵しているとしている。
(文/麻生雅人、写真/Divulgação/CDHU)
太陽光発電システムを装備した住宅都市開発公社(CDHU)のパイロットプラン住宅団地