館長が語る、日伯“二国間の絆”の館「ジャパンハウス」
2017年 01月 3日ジャパンハウス・サンパウロの中庭は通りに向かってオープンになっており、そこから地上階のいくつものスペースにつながっている。エントラスホールにはカフェテリアが設けられ、150 名まで収容可能な多目的スペース、日本文化関連の書籍を主体に書庫に収めた図書室、そして庭園、だ。2階(ブラジル式では1階)は、セミナー用の講堂で、講義なり講演会なりシンポジウムなどで多くの人たちが出会う場、フレキシビルに使っていただけるスペース環境を提供する。
3階(ブラジル式では2階)は、外部の騒音が届かない場所なので、ゆったりとした環境で、アートの展示会なり歴史関連の展覧会などが行えるスペースとなっている。
こうした素晴らしいスペースを通じて、様々な情報が交換され、歴史が深耕され、文化交流が展開される。ジャパンハウス・サンパウロは、日本からブラジルに贈られたプレゼントだが、日系コミュニティーのおかげで確固たるものとなっている二国間の絆を尊重したうえでのプレゼントである。
ブラジルが、日本の国外で最大の日系をルーツとする人口を有する国であることは、ここで改めて強調しておこう。だからこそ、二国間の経済関係も社会関係も人的交流関係も強靭なものであり、ブラジルにおける日本のイメージはポジティブであり、ブラジルは親日国となっている。このジャパンハウスという新しい事業を通じて、日本とブラジルという二国間の関係を新しい視座から更に拡大・深化していきたいと考えているが、この関係強化によって、文化・社会・商業分野における平和と調和の関係基盤を一層堅固にして強力なものにしたいものだ。
私自身のことをいえば、民間企業で長年にわたってブラジルと日本という二国間のビジネス・プロモーションのプロとして働いてきた人間だが、そんな経験者として申し上げると、このジャパンハウスという新事業の先頭に立つという機会をいただいて、大変満足というか心から嬉しく思っている、と改めて記しておきたい。
ジャパンハウスを設置する場所として選ばれた三都市の一つにサンパウロを選定していただいたということは、ブラジルに対する信用を再確認していただいたのであり、ロングタームの視点に基づいて選定していただいた、と理解している。更に申し上げれば、日本政府がブラジルとの関係強化の重要性を再表明していただいたのである。
次の世代のことも考慮に入れて、ジャパンハウス・サンパウロを通じて、ブラジルから南米全般へ、日本プロモーションの新しい可能性を開拓しようと考えている。
文化の持つパワーのおかげで諸国民の関係親密化が図れると信じているが、新しい将来を作り上げるためにも様々な経験や知識の相互交流は重要だし、その潜在的可能性はもっと注目されるべきであろう。そんな未来のためにも、様々な国々のあいだでの、相互に尊重しあう友愛的共生が具現化されなければならない。
日本文化は新しい文化を創造する原動力である。ジャパンハウス・サンパウロはイノベーションを生み出すだろうが、重要なことは、このエネルギーが広範囲に伝播し、訪問者の方々がこのポジティブパワーを吸収して新たな文化創造に参加していただくことだろう。
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(文/アンジェラ・タミコ・ヒラタ(原文ポルトガル語)、翻訳/ブラジル特報編集部、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Divulgação)