ブラジル証券取引委員会、ペトロブラスに決算書修正命令
2017年 03月 14日「オ・グローボ」ほか現地紙が3月8日づけで報じたところによると、ブラジル証券取引委員会(CVM)がブラジル石油公社(ペトロブラス)に2013年から2016年の決算書の修正を命じたという。
CVMは為替と商品のヘッジ取引に関する会計処理と開示が不適切、との理由で、ペトロブラスの2013年、2014年、2015年の年次開示資料一式と2016年の四半期開示資料を修正し、開示しなおすよう命じた。
しかしながら現段階では即時対応を強制される最終決定ではないようだ。
2013年5月、ペトロブラスは為替変動の影響を最小化するためヘッジ取引を行った。CVMは2016年4月、ペトロブラスのヘッジ取引に関する会計処理について調査を始めた。
ペトロブラスがCVMの命令に沿って過年度決算の修正を行った場合、赤字が黒字に転じ、配当前利益が生じる可能性が出てくる。
ペトロブラスは自社の事業再構築プロセスへの影響が大きいという理由で、この命令が当局の最終決定となるまではCVMの命令について公表を差し控えたいと申し出ていた。しかしながらCVMはその申し出には応じなかった。
同社はすでに昨年(2016年)、贈収賄捜査「ラヴァ・ジャット(洗車)作戦」によって同社の汚職への関与が発覚したことによる損失について2014年の四半期決算書の修正と再開示を命じられた経緯があり、今回の決算書の修正も株価に大きく響くものとみている。
3月7日、ペトロブラスは市場関係者向けのメモとして、会社の利益を守るためあらゆる手段を講じる、との声明を出した。
しかしながらペトロブラス優先株の株価は3月8日の14時50分時点で前日比でほぼ5%下落し、サンパウロ証券取引所(Bovespa)で特に大きく値を下げた銘柄の一つとなった。同日、国際原油価格も3%を超えて下落したことも影響しているとみられる。
同社の投資家向け広報担当者(IR)が繰り返している主張は下記の通り。
「2013年から2015年の3事業年度の財務状況の開示はブラジルで適切とされる会計方針および国際財務報告基準(IFRS)に沿ったものであり、独立監査人による監査をうけたものです」(ペトロブラスIR)
同社がいつ2016年第4四半期の決算書および2016年の年次開示資料を開示するのかはまだ確定していないという。
(文/余田庸子、写真/Rovena Rosa/Agência Brasil)
写真は2015年、サンパウロ州パウリーナにあるペトロブラスの製油施設