ブラジルの政策金利、年8.25%まで下落

2017年 09月 13日

レアル

経済危機、政情不安でどこまで上がるのかと懸念されていたブラジルの金利が、2017年に入ってから徐々に下がり始めた。

グローボ系ニュースサイト「G1」が9月6日づけで伝えたところによると、ブラジル中央銀行の金融政策委員会(COPOM)は同日、政策金利を9.25%から8.25%に下げると発表した。

今回の決定で8回連続の金利引き下げとなる。

また中央銀行は今年6月に発表した政府の金利引き下げ方針は今後も継続されると伝えている。年度末までには年率7.25%にまで下げる見通しも併せて伝えた。

年8.25%は2013年7月以来の水準で、実に4年ぶりの8%台となる。

中央銀行の金利は、毎年連邦金融評議会(CMN)から発表される想定インフレ率を念頭に置いて決定される。

2017-2018年の想定インフレ率は年4.5%と見込まれており、中央銀行はそれを見越した金利水準を模索していく模様だ。

中央銀行がさらなる利下げに踏み切ったのは、2017年1-8月のインフレ率が1.62%、前年同期の5.42%と比べて想定以上の低水準にとどまったためだ。金融市場は2017年のインフレ率をCMNが見込んでいた4.5%よりも低い3.38%程度と見ている。これは、2009年以来の低水準となる。

COPOM会合終了後に発表されたリリースによると、政策金利の引き下げは今後も続いていくとのことだ。

「今後の金利に関するシナリオでは、2017年末には7.25%となる見込みで、これで年初の14.25%から7%引き下げられた状態になります。年が明けてから2018年の終わりまでには少し上がり、7.5%で2018年を終えることを想定しています」(COPOMリリースより)

2017年7月の段階では中央銀行は2017年末の政策金利見通しを8%程度と発表していた。

COPOMの次回会合は10月24-25日に行われる。その時点の状況によっては今までの利下げのペースが少し落ちることもあり得る、とCOPOMリリースは付け加えている。

今回の利下げ決定により、マネユー社およびインフィニティ・アセット・マネージメント社が発表している世界高金利ランキングにおいて、ブラジルは3位となった。

ランキングは今後12か月の政策金利からインフレ率を除いた実質金利で判定され、ブラジルは3.29%となっている。

ちなみにブラジルより上位にあるのは、ロシア(1位:4.32%)とトルコ(2位:4.02%)だ。調査対象となった40か国・地域の平均はマイナス0.24%だった。

2017年8月、ブラジル地理統計院(IBGE)はブラジルのGDPは第2四半期で0.2%成長していると伝えており、アナリストは景気回復の兆しが明確に出てきたとの見解を示している。

COPOMの決定に対し、大統領府スポークスマン、アレシャンドリ・パローラ氏は「ブラジルは経済面でよい局面にある」との大統領の談話を伝えた。

パローラ氏はまた、7月の0.24%から0.19%に下がった8月の拡大消費者物価指数と、ブラジル開発銀行によって承認された短期金利、長期金利、財政見直しにより、2017-18年の財政赤字は1590億レアル(約5兆5600億円)に達する点を注視すべきと伝えた。

(文/原田 侑、写真/Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)