アンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ元駐日ブラジル大使、COP30議長に選任される

2025年 01月 22日
embaixador andre correa do lago
1月21日、ブラジリア、大統領府にて。ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領とアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ外務省気候変動・エネルギー・環境局長兼COP30議長(写真/José Cruz/Agência Brasil)

アンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴ大使は、11月にベレン(パラー州)で開催が予定されているCOP30(国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議の議長を務める。

外務省気候変動・エネルギー・環境局長も務めるアンドレ氏は、気候変動枠組み条約に関する世界的合意に向けた交渉を主導する責任者となる。

COP30の事務局長は、環境・気候変動省(MMA)の気候変動担当長官アナ・トニ氏が務める。

この人事の発表は、プラナルト宮殿(大統領府)でルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領との会談後に、マリーナ・シウヴァ環境・気候変動大臣と、マリア・ラウラ・ダ・ホッシャ外務副大臣によって行われた。

「これら2つは、COPのプロセス全体において、コンテンツ、交渉、リーダーシップの一部として、基本的かつ戦略的なポジションです」(マリーナ・シウヴァ大臣)

物流やインフラに関する問題は 大統領府官房庁が責任を負うという。

駐日ブラジル大使(2013年~2018年は)や駐印ブラジル大使(2018年~2023年)も務めたアンドレ・コへーア・ド・ラーゴ大使は環境、持続可能な開発、気候変動をテーマにした役職の経験が豊富で、2011年から2013年、および2023年から2024年にかけて、これらの問題に関し、国際フォーラムにいてブラジルの首席交渉官を務めた。

アナ・トニは、社会正義、環境・気候変動に関するプロジェクトや公共政策の推進に長年注力してきた経験を持つ。

両者は、2024年11月に、アゼルバイジャン共和国・バクーで開催されたCOP29においてもブラジル公式代表団のメンバーとして活躍している。

大使は記者会見で、ルーラ大統領の信任に感謝し、今年のCOPでブラジルは「これまでにない役割」を担うことができると述べた。大使によると、COPは政府、市民社会、企業など多岐にわたる主体がかかわって作り上げていくとのこと。

coletiva
1月21日、ブラジリア、大統領府にて。ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領との会談後、記者会見に臨むアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ外務省気候変動・エネルギー・環境局長兼COP30議長(中央)、マリーナ・シウヴァ環境・気候変動大臣(左)(写真/José Cruz/Agência Brasil)

コへーア・ド・ラーゴ大使は、会議が開催されるアマゾン地域の住民の参加を確約し、それは「絶対に不可欠」であると述べた。

「COPはさまざまな側面を持っていますが,ブラジル自身にとっても非常に大きな一面を持つことになります。リオ- 92(1992年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED)、通称「地球サミット」)が、気候変動を認識し、環境問題を認識し、生物多様性を認識するというように、ブラジル人の生活習慣に多大な影響を与えたように。つまり、(COPは)国家的に極めて重要な側面を持っています」(アンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ大使)

「この準備期間中に、我々は市民社会と多くの対話を重ねる予定です。なぜなら、彼らがプロセスに関与することが不可欠だからです。なぜなら、RIO-92と同様に、国民自身がこの“気候変動との闘い”というアジェンダを確信して、このアジェンダの実現に寄与しなければならないからです」(同)

正式にはCOPの議長国は、11月の(COP30)公式開会まではアゼルバイジャン共和国が務めるが、以降はブラジルが引き継ぎ、議長国として、各国もしくはその他の利害関係者間の対話を促進し、交渉の成功を実現するための取り組みを主導することになる。

コヘーア・ド・ラーゴ大使は、気候変動対策のための温室効果ガス排出削減、適応、資金調達について2015年に採択された国際条約であるパリ協定からのアメリカ合衆国の離脱により、COP30の失速について(記者団から)質問を受けた。

大使は、合衆国は協定を離脱したが、国連気候変動枠組条約の署名国であり続けていると明言した。

ラーゴ大使は「まだ開かれているチャンネルはいくつかあります。とはいえ非常に影響力のある政治的発表であることは間違いありません」と、合衆国のドナルド・トランプ新大統領の決定について語った。

「アメリカ合衆国は重要な役割を担っています。なぜなら、最大の経済大国であるだけでなく、最も多く温室効果ガスを排出する国のひとつでもあり、気候変動にテクノロジーで対応してきた国のひとつでもあるからです。合衆国には驚嘆すべき(技術力を持った)企業があり、またこの議論に深い関心を持っている州や都市もあります」(同)

「我々は現在、トランプ氏の決定について分析しているところです。しかしながら、これがCOPの準備と、このような重要な国がこのプロセスから撤退するという事実に我々がどのように対処しなければならないかという点に、及ぼす影響が小さくないことは間違いありません」(同)

(記事提供/アジェンジア・ブラジル、構成/麻生雅人)

日本移民110周年を祝うFOODEX2018 ブラジルパビリオン、アンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ大使がテープカット
国連視察団、COP30開催地ベレンの準備や取り組みを称賛
シングル・オリジン・カカオ最前線を味わえる“カカオ沼”「サロン・デュ・シュコラ2025」開催中
州内で絶滅したと考えられていたアメリカバク、100年ぶりにリオで目撃される
ゴールデングローブ賞2025、フェルナンダ・トーヘスがドラマ部門主演女優賞を受賞