ANAが導入を発表したエンブラエルE190-E2とは
2025年 02月 26日
ANAホールディングス株式会社は、2025年2月25日に開催した取締役会において77機の航空機発注を決定したことを発表した。このうち20機はブラジルのエンブラエル社が選ばれている。
同社によると今回の航空機の発注は、「旺盛なインバウンド需要などの将来的な航空需要の拡大を見据えて、コロナ禍で抑制していた航空機の更新や追加発注を行う」ことになったとのこと。
「既発注の機材と今回発注の機材を合わせると、2030年度時点においてグループ全体の機材数は約320機、ボーイング787シリーズは約120機となり、低燃費機材の構成比は91%まで向上、環境対策にも貢献」するという。
ANAブランド国際線では、「旺盛なアジア-北米流動需要や成田空港の再拡張を見据え」、ボーイング787-9型機(GE社製エンジン搭載)が18機発注される。成長領域と位置付けている国際線において新造機を積極導入することにより、持続的な成長を実現する為の基盤づくりを行う狙いだ。この発注により、国際線の有効座席キロ(ASK)は2030年度に2023年度実績比で約1.5倍になる見通しとのこと。
そして、ANAブランド国内線で導入が発表されたのが、ブラジルが誇る航空機メーカー、エンブラエルのE190-E2型機。100席クラスの小型機20機(確定発注15機、オプション5機)が発注される。
同機種を「将来的な事業環境変化への対応を図っていくべく、日本で初めて」発注することにより「最新のエンジンや技術の採用により低燃費・低騒音を実現するとともに、運航コストを抑制し中長期的な国内線において機動的な需給適合を追求していく」という。
また、上記に加え、現在運用している機材の更新として、エアバスA321neo型機14機の追加発注及びボーイング737-8型機を12機(確定発注8機、オプション4機)も発注する。
Peachは、現在運用している機材の一部を、優れた燃費効率や長い航続性能を有するエアバスA321neo型機10機やエアバスA321XLR型機3機へ更新する。
また同社は、上記とは別に、2020年2月25日に発表したボーイング787-9型機blankのオプションの5機ならびに、2019年1月29日に発表したボーイング737-8型機blankのオプションの10機も確定したことも発表した。
ANAホールディングスの芝田浩二社長は「今回発注の機材を活用し、国内線の収益性向上と成長領域である国際線の拡大につなげ、世界をリードするエアライングループとして、持続的な成長をめざします」とのコメントを公表した。
国内線の機種として導入が発表されたエンブラエルは、米ボーイング、仏エアバスに次ぐ、世界第三位の航空機メーカー。
ブラジルの現地メディア「オ・ヴァーリ」は、「E190-E2は市場で最も静かで燃費効率に優れた航空機です。このサイズのジェット機がANAがすでに持っている大型ワイドボディ機の航空機群に加わることで、ちょうどいい感じで補完することになるしょう。E2シリーズは中央座席がなく、キャビンの快適性とスペースが優れているため、きっと乗客のみなさんにも満足してもらえるでしょう」というエンブラエル社の販売統括責任者マーティン・ホルムズ氏のコメントを報じている。
E2は、同社のEシリーズの新世代機種で、今回が日本での初導入となる。Eシリーズは、日本航空がエンブラエル190(E90)をすでに導入している。
同紙によると、E190-E2は最新鋭の機内インテリアを持ち、エンブラエルジェットの特徴である2×2の広々とした座席配列で、座席も、荷物スペースもともに快適なスペースが確保されているという。さらに、窓が大きくなったことで光と空間の感覚が増し、通気口と読書灯を備えた個別の乗客サービスユニットが装備されているとのこと。
エンブラエル社によると、E190-E2はアスペクト比の高い金属製の主翼を持ち(翼端も改良型となっている)、効率的な運航を実現しているという。エンジンのブレードも大きくなり、燃費効率が改良されているという。
補助動力装置(APU)の始動時や動作の性能も向上しており、吸気口も改良され、抗力を低減しているとのこと。
第4世代ジェット機のフライ・バイ・ワイヤ制御システムはデジタルによる閉ループ制御を誇り、飛行品質と燃料効率の向上を実現しているという。
エンブラエル社のE-JetシリーズのEおよびE2は、50か国以上、80社以上の航空会社と契約しており、1,800機以上が納入されているという。
(文/麻生雅人)