イヴァン・リンスが80歳記念コンサート・ツアーを敢行。日本ではブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラとも共演

2025年 06月 24日

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「ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ with special guest イヴァン・リンス」(画像提供/ブルーノート東京)

ジョージ・ベンソンが歌ったポール・ウィリアムスとの共作曲「ラヴ・ダンス」(1980)や、デイヴ・グルーシン、リー・リトナーとの双頭名義アルバム「ハーレクィン」(1985)への参加などアメリカ合衆国での活動をはじめ国際的な活躍でも知られるブラジルのシンガー・ソングライター、イヴァン・リンス(1945年6月16日、リオデジャネイロ生まれ)。

日本でも、阿川泰子「アミザージ」のプロデュース(1994)、村田陽一との双頭作「ジャネイロ」(2010)や、椎名林檎のアルバム「日出処」(2014)への参加などで知られている。

そんなイヴァン・リンスが、生誕80周年を祝して国内外でコンサートツアーを実施する。

「イヴァン・リンス80周年:人生そのものが音楽に昇華された瞬間」と銘打たれたこのコンサートツアーは、主催者によると「単なる音楽ショーにとどまらない、ブラジル音楽界の巨匠の軌跡を彩る刺激的な祝典」になるとのこと。

学生時代に、大学生音楽祭に参加して注目を集めた1968年、軍事独裁政権下での活動、合衆国のジャズ~フュージョンとの交流…長いキャリアの中で生み出された数々の曲が、イヴァンの人生の物語の輝かしい章を、そして彼が祖国と世界に対して抱いていた想いを鮮やかに描き出すステージになるという。

「このショーは、彼の長いキャリアの中でも、最も美しく、刺激的な瞬間の一つとなるでしょう」(主催者)

本国ブラジルでは7月26日(土)のリオデジャネイロ市(会場:ヴィーヴォ・リオ)を皮切りに、8月1日(金)サンパウロ市(会場:トキオ・マリーニ・ホール)、8月22日(金)セアラー州フォルタレーザ市(会場:リオマール劇場)、8月23日(土)ペルナンブッコ州ヘシーフィ市(会場:グアララピス劇場)、10月10日(金)ミナスジェライス州ベロオリゾンチ市(会場:パラシオ・ダス・アルチス)で公演が予定されている。

この80周年のアニヴァーサリー・ツアーは、本国での公演の合間に国外での公演も予定されている。来日公演も行う。

日本では9月10日(水)から12日(金)の3日間にわたり、東京(会場:ブルーノート東京)で公演が行われる。

また、このツアー公演に先駆け、9月9日(火)には同会場にて「ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ with special guest イヴァン・リンス」に出演する。

エリック・ミヤシロの指揮のもとに日本屈指のジャズ・ミュージシャンが集結した凄腕ビッグ・バンド、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラとイヴァン・リンスとの一夜限りの“夢の共演”は今回で2度目となる。最初の共演はリオ五輪が開催された2016年8月26日に行われた。9年ぶりの再共演となる。

軍人だった父を持つイヴァン・リンスは12歳の時に通っていた軍隊学校の楽団でトランペットを演奏したのが、音楽のキャリアの出発点となった。

若き日にアメリカ合衆国で過ごした経験のあるイヴァン・リンスはモータウン・サウンドなどソウル・ミュージックの洗礼を受け。帰国後には故郷の町(リオ市チジュッカ地区)が生んだブラジルのソウル・ミュージックの父、チン・マイアからも多大な影響を受けた。

その後、祖父母の家で聴いたポルトガルの民謡ファドや、ジャズ、同時代のブラジル音楽などからも影響を受けた。

リオデジャネイロ連邦大学で化学を専攻していた18歳のころ、TVトゥピ主催第一回大学生歌謡音楽祭に「夜明けまで」(ヴァウデマール・コヘイアとの共作)を出品して全国で注目を集めた。1970年代のブラジル音楽ではまだ珍しかった、独特の和声構成、ハーモニーを持つイヴァンの作品は、世界中の音楽家からも注目されるようになった。

1970年に「アゴーラ/フィナウメンチ」でレコード・デビューを果たし、同年、エリス・ヘジーナが歌った「マダレーナ」やエヴィーニャが歌った「アゴーラ」がヒット。以降も「アブリ・アーラス」(1974)、「ノーヴォ・テンポ」(1980)、「アンジョ・ジ・ミン」(1995)など数多くのヒット曲を放っている。

2000年にはイヴァン・リンスのカヴァー曲集「イヴァン・リンス・トリビュート(A Love Affair: The Music Of Ivan Lins)」がアメリカ合衆国で発売され、ダイアン・リーヴス、グローヴァー・ワシントンJr.、シャカ・カーン、フィレディ・コールなどがイヴァンの曲を歌った。収録曲「シー・ウォークス・ジス・アース(ソベラーナ・ホーザ)」を歌ったスティングは、この曲で第43回グラミー賞最優秀男性ポップ・ヴォーカルを受賞している。

●リオが誇るブラジル音楽界屈指のメロディメイカー
80歳を記念したアニヴァーサリー・ツアー

イヴァン・リンス “80th Anniversary Tour”

2025 9.10 wed. – 9.12 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
予約受付中(※Web予約のみ)

●レジェンドとビッグバンドが贈る9年ぶりの共演
80thアニヴァーサリーを祝福する豪華ステージ

ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ with special guest イヴァン・リンス

2025 9.9 tue.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm

◆Jam Session会員(※Web予約のみ)予約開始日:6.24 tue. 12:00pmから
◆一般(※Web予約のみ)予約開始日:7.1 tue. 12:00pmから

予約、詳細はブルーノート東京(https://www.bluenote.co.jp/jp/)まで。

(文/麻生雅人)