世界最大級のLGBT+プライドパレード、サンパウロで開催
2025年 06月 24日
【6月22日、サンパウロ】数百万人の参加者を集めたサンパウロLGBT+プライドパレードは、“LGBTQiA+人口の高齢化”という問題を、同イベントの議論と祝祭の中心に据えて開催された。
主催者推定で400万人の観客が詰めかけたパウリスタ通りでは、17組のサウンドシステムカーが午後1時より、市内旧市街区へパレードを繰り広げた。
長年にわたり世界最大級の多様性パレードとして知られてきたこのイベントは、29回目となる今回の開催で、初めて、このテーマを議論の中心に据えた。人人権・市民権省・高齢者権利評議会のメンバーで活動家のノリヴァウド・ジュニオール氏は、夫でもあり広報担当のホドリゴ・ソウザ氏と共にイベントに出席し、この議題を称賛した。
「パレードの委員会が(イベントの)テーマを『高齢化』と発表したとき、委員会の私たちは大変喜びました。LGBTコミュニティは80年代に空白期を迎え、その基盤となるものの多くが失われました。今日、私たちはこの世代が私の世代よりも良い老後を送れるようにしたり、そうしようと努力したりできる」と彼は語った。」とノリヴァウド氏は述べた。
「残念なことに、ある世代(の人々)は(見た目の)身体の問題を非常に気にする世代で、高齢者である私たちを運動の一員として見ることができず、私たちを再び“クローゼットに閉じ込めてしまう”のです。ある意味、彼らは、いつか私と同じ62歳になるということを受け入れていないのかもしれません。
そうなってしまうと私たちは再び生きていくことが困難となります。若い頃にさんざん経験したあらゆることを再び経験することになります。家から追い出されたり、学校に受け入れられなかったり、就職に苦労したり。LGBTの老年期に達したときに、おなじサイクルを再び経験することになるのです。
それゆえ、今年のパレードで高齢化をテーマにすることは、非常に重要なのです」(ノリヴァウド氏)
彼と夫は62歳と35歳の異世代カップルである。
ホドリゴさんは感情的になりながら「私たちは14年間一緒に暮らしてきました。年齢差は27歳です。年齢差は関係ないと思っていますが、愛があり、思いやりがあるなら、愛は作り上げていくもの、と考えるべきです。時間と忍耐、そしてたくさんの仲間が必要です」と語った。
サウンドシステムから繰り出されるダンスミュージックと群衆の鼓動に乗りながら、お祭りを楽しむヴァイブとプライドパレードの意識をを持って、パレードにはあらゆる年齢層の友人同士やカップル、家族が集った。
最初にパレードに参加したグループの一つは、トランスジェンダーの子どもを持つ家族による団体「トランスジェンダーの子どもと青少年は存在する」。4年間、このイベントでパレードを続けている。
NGO組織「私のトランスジェンダーの子ども」のタミリス・ヌニス会長(35)は、子どもと若者の権利を訴える活動家で、10歳のトランスジェンダーの子どもを持つ母親でもある。
「私たちは、トランスジェンダーの子どもや若者が存在すること、彼らには権利が必要であること、私たちの家族は他の家族と同じ家族であり、私たちの子どもたちは他の子どもたちと同じであることを示すために、ここにいます。
私たちの娘や息子の存在を否定し、公共政策は必要ないと主張し、私たちのことを機能不全の家族だと主張する運動があることも、私たちは知っています。
だから私たちは、他の家族と同じように、私たちも家族であることを訴えるために、ここにいます。そして、トランスジェンダーの子どもたちや若者たちのために、これからも戦い続けることを誓います。なぜなら、私たちに未来が必要なものらば、未来は、認識することから始まるからです」(タミリス・ヌニス会長)
長年パレードに参加し続けているメイ・リンさんは、1996年からデモ行進に参加して、2001年からは運営にも参加している。現在45歳の彼女は、状況の中で抵抗を続け、自己の存在を示し続けることが重要だと考えている。
「(このパレードは)抗議活動があり、群衆が集い、常にフェスタです。私たちが集まることで、認識される機会も増え、注目を集めるようになり、写真も増え、皆が話題にしたくなります。.
そうです。人々が集まれば、私たちはより広い道を切り開くことができ、訴えることができ、抗議することができ、それを世に広めることができるのです」(メイ・リンさん)
パレードに初めて参加したアルゼンチン系ドイツ人のホッシャさんは、馬に乗り、楽しそうにパレードを行進した。高齢者として、彼はサンパウロでの活動を知り、故郷ブエノスアイレスからやってきて権利を求める闘いに加わることが重要だと考えている。彼は夫と友人と共にパレードに参加した。
「私たちは、アルゼンチンでもブラジルでも、多くの場所で同じイデオロギーを持っている人々がいることを示すために、私たちの権利と成果を支持するために、そしてさらなる革命とさらなる闘争を求めるために、パレードに参加するためにやって来ました。ラテンアメリカは負けることはありません」(ホッシャさん)
自国における多様性運動について尋ねられた彼は以下のように語った。
「アルゼンチンには多くの権利が存在しますが、現大統領はひどく、私たちを恥ずかしめる存在であり、私たちは苦労しています。しかし、私たちは築き上げてきたものを守るために戦い続けます」(ホッシャさん)
州政府は、イベント会場と各警察署に1,500人の警備員を動員した。当局は、盗難や強盗に備え、所持品の管理と携帯電話のロックを推奨している。イベント開催に伴い、医療チームと交通手段の確保も強化された。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)