サンパウロ動物園で、タテガミオオカミの赤ちゃん、お披露目に
2025年 07月 29日
今年(2025年)の5月17日にサンパウロ動物園で誕生した2頭のタテガミオオカミの赤ちゃんが、母親ピタンガが見守る中で、一般公開されている。現地メディア「エスタダォン」、「ヴェージャ・サンパウロ」、「G1」などが報じている。
これまで2頭は、兄妹ともに制限区域で獣医の管理下で育てられていた。父親のカジューは、赤ちゃんたちとは距離を置いている。

南米最大のイヌ科動物とされるタテガミオオカミは、国際自然保護連合(IUCN)によって「準絶滅危惧種」に指定されている。ブラジルのセハード(サバンナ地帯)生態系において最も象徴的かつ脆弱な種の一つであるこの種は、生息地の破壊やロードキルによって深刻な脅威に直面している。他のイヌ科動物とは異なり、社会的な群れを形成せず、メスとの絆を築くのが難しいため、人間の保護下での出産は稀だという。また、遺伝的多様性も限られている。
そんなタテガミオオカミの誕生は、生物学者たちにとっても祝福すべき出来事となっている。

サンパウロ動物園哺乳類部門の主任生物学者であるルアン・モライス氏は「人間の保護下でタテガミオオカミを繁殖させるのは困難です。特別な飼育環境、スペース、そして繁殖のための静けさが必要だからです」と述べている。
サンパウロ動物園では、タテガミオオカミの赤ちゃんだけでなく、5月29日に生まれたキリンのメウマンや、2024年11月にやって来た4頭のメスのライオンの赤ちゃんも一般公開されている。
(文/麻生雅人)