米国によるブラジル最高裁モラエス判事への制裁の影響は限定的、と専門家は指摘

2025年 08月 1日

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ブラジル連邦最高裁判所(STF)のアレシャンドリ・ジ・モラエス判事(写真/Rosinei Coutinho/STF)

アメリカ合衆国による、ブラジル連邦最高裁判所(STF)のアレシャンドリ・ジ・モラエス判事への金融制裁の適用は、ドナルド・トランプ大統領やジャーイル・ボウソナーロ前大統領の同盟者が期待したような効果をもたらす可能性は低い。

アジェンシア・ブラジルが入手した情報筋によると、モラエス氏はその国に資産も、同国に所在する銀行口座も保有していないという。また、同氏は米国に渡航する習慣もない。

7月30日、アメリカ政府は、人権を侵害したと見なされる人物に経済的制裁を科す「マグニツキー法」を適用し、アレシャンドリ・ジ・モラエス判事に対して制裁措置を講じることを決定した。

マグニツキー法では、米国内の銀行口座、資産、金融投資の凍結を規定しており、制裁対象者に対して米国企業との取引を禁止するほか、米国への入国も認めないとしている。

この規定の適用は、トランプ大統領によってアレシャンドリ・ジ・モラエス判事に対して発動された2度目の制裁措置となる。7月18日、マルコ・ルビオ米国務長官はモラエス判事、その家族、そして“最高裁の同僚たち”の査証(ビザ)を取り消すと発表している。

上記の発表は、モラエス判事がエドゥアルド・ボウソナーロ連邦下院議員(自由党/前大統領の息子)に対する捜査を開始した後に行われた。この捜査は、同議員が米国政府と連携して、ブラジル政府および最高裁判所の判事らに対する報復措置を推進し、クーデター計画に関する刑事訴訟の進行を妨害しようとした行為に対し行われたものだった。

今年3月、エドゥアルド氏は政治的迫害を理由に議員職の休職を申請し、アメリカに移住した。その休職期間は、今月20日に終了している。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)