ルーラ大統領、米国への敵意は否定も「ブラジルは“ちっぽけな共和国”ではない」と強調

2025年 08月 4日

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ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル連邦共和国大統領
(写真/Marcelo Camargo/Agência Brasil)

ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は、日曜日(8月3日)に行われた、アメリカ合衆国がブラジルに対して課した50%の関税爆弾に関する演説の中で、ブラジルは、国際貿易の決済通貨としてドルに代わる選択肢を模索することを放棄すべきではないと語った。ホワイトハウスによるこの措置により、ブラジルの輸出品の約36%が課税対象となっている。

「私は、我々が他国と取引するための代替通貨を構築することを模索することを放棄するつもりはありません。私はドルに従属し続ける必要はないのです」と、ブラジル大統領は述べた。

アメリカ合衆国は、国際貿易におけるドルの代替を模索する動きを、ブラジルへの課税の直接的な理由としては挙げていないものの、BRICS内で議論されているこの提案が、ドナルド・トランプ氏による対応の背景にあると、複数のアナリストが指摘している。

7月6日から7日にかけてリオデジャネイロで開催されたBRICS首脳会議の期間中、トランプ氏はこのブロックに対して批判を行い、貿易においてドルを代替しようとする国々に報復すると宣言した。国際通貨としてドルを使用することは、米国にとって世界経済における競争上の優位性をもたらす。

ブラジリアで開催された労働者党(PT)の大会において、ルーラ大統領は、ブラジルは米国に敵意を示す意図はないと強調しつつ、しかしながら自国の戦略的利益を守る必要があると述べた。

また大統領は、ブラジルは“ちっぽけな共和国ではない”と語り、対等な条件での交渉を望む意向を示した。

「米国は大国であり、世界で最も軍事的な国であり、最も技術的に進んだ国であり、世界最大の経済規模を持つ国でもあります。これらはゆるぎない事実です。しかし我たちは、我たちの規模に応じた敬意を求めているのです。我たちには経済的・戦略的な課題があります。我たちは成長したいのです。そして我々は“ちっぽけな共和国”ではありません。政治的な問題を持ち出して、我々に対して経済的な課税を行うことは容認しかねます。断じて容認できません」と述べた。

ルーラ大統領は、ジャイール・ボウソナーロ前大統領のクーデター未遂に関する裁判に、アメリカ合衆国が批判していることにも言及した。これは、トランプ氏がブラジルに対する関税強化の理由の一つとして挙げた要因でもある。

外交関係

その一方で、ブラジル大統領は、政府としてはアメリカ合衆国との交渉に引き続き前向きであると語った。また、現在では同国がかつてほどブラジルにとって経済的に重要な存在ではなくなっているものの、外交関係は維持されるべきであると強調した。

「今日ブラジルは、かつてほどアメリカ合衆国に依存してはいません。ブラジルは世界中に非常に広範な商業関係を築いています。我々は経済的な観点から見ても、以前よりずっと落ち着いています。とはいえ、アメリカ合衆国との外交関係が201年にわたって続いてきたという事実の重要性を、私は理解しないわけではありません」(ルーラ大統領)

ルーラ大統領はまた、政府としては関税爆弾によって影響を受けた企業や労働者を守るために取り組む方針であると述べた。その一方で、ホワイトハウスとの交渉には引き続き門戸を開いていることも強調した。

「我々はこう言います。『交渉を望むなら、提案はすでにテーブルの上にあります』と。実際、アウキミン(副大統領)とマウロ・ヴィエイラ(外務大臣)によって、すでに提案は提示されています。非常に明快なことです」と締めくくった。

交渉

関税爆弾が正式に発表された後、アメリカ財務省はブラジル財務省に連絡を取り、交渉を開始する意向を示した。
また、先週金曜日(1日)には、ドナルド・トランプ大統領がルーラ大統領との対話に前向きであると表明した。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)