ブラジル南部、南東部でのマゼランペンギンの大量死の原因の可能性を専門家が指摘
2025年 08月 24日
8月21日までにブラジル南部および南東部沿岸で確認された566羽のマゼランペンギン(Spheniscus magellanicus)の死は、渡りの途中で群れから離れてしまったことが原因である可能性があるとブラジルのメディア「g1」が伝えている。
「g1」の取材に対し専門家たちは、これらのペンギンが若い個体であるように見えること、加えて、食料不足、人間の干渉、漁網との接触などの要因が影響した可能性を指摘した。
過去6日間で、サンパウロ州イリャ・コンプリーダ市では350羽以上、サンタカタリーナ州(SC)の海岸では216羽のペンギンの死骸が発見された。これらのデータは、カナネイア研究所(IPeC)およびR3 Animalによって明らかにされた。両機関は、サントス海盆の海岸監視プロジェクト(PMP-BS)に参加している。
「g1」の依頼に応じて生物学者アレックス・リベイロ氏は、漂着がペンギンの若さと関係している可能性を指摘した。若い個体は、体の色がまだはっきりしていないため識別できるという。「初めての渡り(季節的な長距離移動)では、うまく方向感覚が働かず、迷ってしまうことがあります」と彼は語った。
アレックス氏は、実際の死因を特定するには、個体の病理解剖による分析が必要だと強調した。例えば「動物が油で汚れていたり、何らかの形でゴミを摂取していた場合」は、ペンギンたちが人間の影響によって海岸に近づきすぎてしまい、海上で漂流することになって食料を得られなくなった可能性も考えられるという。
また、発見された個体数が多いとはいえ、この事例は自然淘汰の文脈に位置づけられる可能性があるとも指摘した。アレックス氏によると、この種の原産地であるパタゴニアには100万羽以上のペンギンが生息しているという。
生物学者ウィリアン・ホドリゲス・シェピス氏は、海に係留された「待ち網」と呼ばれる漁網にかかってしまった可能性についても言及した。「(その場合、)この動物(ペンギン)には市場価値がなく経済的価値もないので、漁師は海にそのまま捨ててしまうのです」と彼は語った。
生物学者エリック・コミン氏によると、マゼランペンギンは、体内の塩分を排出するための塩分排出腺を持っており、食料を求めて最大50メートルの深さまで潜ることができるという。
「最大の脅威は海洋汚染です。プラスチックや石油由来の物質が問題です。さらに、船の乗組員が船底の清掃を行う際、誤って化学物質が海に流出することがあり、鳥たちは大きな影響を受けます」(エリック・コミン氏)
コミン氏は、海での石油流出が鳥の羽に付着し、泳ぐのが困難になる可能性があると述べた。
「これらの鳥は非常に高い体温を持っていますが、羽に問題があると体温を大きく失い、低体温症や脱水症状を引き起こす可能性があります」と彼は締めくくった。
短期間での大量出現は、ペンギンの渡りの時期とも関連している。この時期、彼らはアルゼンチンやパタゴニアの生息地を離れ、ウルグアイを経由してブラジル南部および南東部へと北上して泳いでいく。
アレックス氏によると、この種の渡りは南大西洋熱帯海流を利用して行われ、ペンギンたちは食料を求めてこの海流に乗るという。渡りの時期は6月から9月の間にかけて行われる。
「旅は非常に長いため、多くの個体が弱ってしまい、衰弱して十分な食料を摂ることができず、途中で命を落とすことがあります。多くは外洋で死ぬか、非常に弱った状態で海岸にたどり着きます。海岸で死ぬか、海岸監視を行っている団体に保護されることもあります」とアレックスは語った。
生物学者ハファエウ・サントスはさらに、南東部の海域、特に北のエリアでは、ペンギンたちが必要とする食料が十分に得られないと述べた。ペンギンは通常、1万〜1万5千羽の群れで渡りを行う。「そのため、漂着する個体の多くには共通した特徴があります。痩せていて、ほとんどが幼鳥です」と彼は説明した。
しかしウィリアン氏は、短期間にこれほど多くのペンギンが出現するのは通常ではないと強調した。「これは顕著な数です。非常に短い期間に、かなりの数が確認されています。ペンギンの死骸を使って、より詳細な分析を行う必要があります」と彼は述べた。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)