サンパウロで、12月7日に発生した2件の殺人事件を受け、フェミサイド(女性殺害)抗議デモ行われる
2025年 12月 8日

フェミサイド(女性殺害)や、その他の女性に対する暴力の増加に抗議するため、ブラジル全国各地で12月7日(日)、市民による抗議行動が行われた。現地メディア「g1」G伝えている。
社会運動団体「レヴァンチ・ムリェーリス・ヴィーヴァス(女性の命を守るための決起運動)」によると、少なくとも20州と連邦区で抗議の声が上がったという。
「g1」によると、ブラジル法においてフェミサイド(女性殺害)は、女性であることを理由に殺害される犯罪を指し、家庭内暴力や家族関係における暴力、女性蔑視や性差別などが動機となる場合を含む。刑罰は懲役20年から40年と定められているという。
ブラジルでは2025年に1,000件を超えるフェミサイド(女性殺害)が記録されている。連邦区だけでも今年26件の殺害が発生した。直近の事件は12月5日(金)に起こっており、陸軍所属のマリア・ジ・ロウルデス・フレイリ・マトス伍長が兵士によって営舎内で殺害された。
今回の抗議行動は、ブラジリア、サンパウロ、サンタカタリーナで発生した、全国的に注目を集めた一連の殺人事件を受けて呼びかけられた。
サンパウロ市では、ブラジル社会分析・政策研究所(Cebrap)とサンパウロ大学(USP)の調査によると、パウリスタ大通りに9,200人が集まった。
7日正午、パウリスタ大通りのMASP前に数千人が集まり抗議デモが行われた。参加者は「女性の命を守る」などのスローガンを掲げた横断幕やプラカードを手に、市中心部を行進した。
今回の抗議は、同日にサンパウロ大都市圏で発生した二つの事件を背景に行われた。サントアンドレーで38歳の薬剤師ダニエリ・グエデス・アントゥネスさんが元交際相手に殺害され、ジアデマではミレーナ・ジ・シウヴァ・リマさんが元交際相手に襲われ死亡した。
軍警察と住民の情報によると、ミレーナ・ジ・シウヴァ・リマさん(27)は元交際相手のジョアン・ヴィトール・ジ・リマ・フェルナンデス(30)に襲われた。二人は2か月前に別れており、子どもが一人いた。
「すべての女性は尊厳を持ち、保護されるべきです。私たちは一人として忘れられることのないように街頭に出ました」と、連邦下院議員エリカ・ヒルトン氏は抗議の場で語った。
(文/麻生雅人)




