生体牛の輸出をめぐり、NGOが劣悪な取り扱いと環境リスクを指摘
2025年 12月 12日

三週間前、貨物船「スピリドンII」が数か月にわたり漂流した末、リビアで約3,000頭の牛の陸揚げを許可された。当初の目的地はトルコだったが、衛生管理上の不備や家畜の識別に関する問題を理由に受け入れを拒否されていた。船内では、甲板に積み上げられた死骸、糞尿の悪臭、水や飼料の不足が報告されている。
この事例は、生体動物の国際取引に伴う問題の最新の一例であると、動物保護団体「マーシー・フォー・アニマルズ」は指摘する。同団体は12月11日(木)、ブラジリアの連邦議会下院・環境・持続可能な開発委員会で開かれた公聴会に参加した。
「船内という人工的な環境、海の揺れ、高温、過密状態などの要因が、動物に身体的・心理的ストレスを与えています。その結果、免疫系が抑制され、特に感染症の発生を助長するのです」と、同団体ブラジル支部の政府関係・公共政策ディレクター、ジョルジ・ストゥラーロ氏は訴えた。
「船内の劣悪な衛生状態や、適切な獣医療の欠如が、事態を一層深刻化させています」(ジョルジ・ストゥラーロ氏)
ストゥラーロ氏は、この種の取引が環境面でも深刻なリスクを伴うと指摘する。その一つが、沈没事故の危険性だ。多くの船舶は老朽化しており、家畜輸送を想定して設計されていないためだ。さらに、汚染の問題もある。
「動物が満載されたトラックからは、港へ向かう途中で糞尿がこぼれ落ち、積み込みが行われる自治体の空気を強烈な悪臭で覆います」(ジョルジ・ストゥラーロ氏)
「この大気汚染は公衆衛生に深刻な影響を及ぼすだけでなく、地域経済にも打撃を与えます。商業や観光、住民の日常生活を妨げるためです。そのため、サントス市やベレン市は生体動物輸出の拠点から外れる決断をしました」(ジョルジ・ストゥラーロ氏)
ブラジリアで開かれた公聴会は、ドゥーダ・サラベルチ氏(民主労働党-MG)連邦下院議員の要請で行われたもので、動物議員連盟の動物作業部会、全国動物保護・擁護フォーラム、ガイア・リベルタス、動物権利ニュース通信社、全国運動「命を輸出するな」なども参加した。
開発・産業・商業・サービス省(MDIC)に関連するポータル「Comex Stat」のデータによると、ブラジルは世界最大の生体動物輸出国である。2025年11月には年間で95万2千頭の牛を輸出し、過去最高を更新した。月間平均が維持されれば、12月末までに100万頭を超える見込みだ。
国会では現在、この問題に関する二つの法案が審議されている。いずれも課税を通じて輸出を抑制することを狙うものだ。
ルシエーニ・カヴァウカンチ連邦下院議員(社会主義自由党-SP)が提出した補完法案第23/2024号は、カンヂール法(補完法第87/96号)を改正し、生体動物輸出に対するICMS(商品・サービス流通税)の免除を禁止する内容となっている。
また、ニウト・タット連邦下院議員(労働者党-SP)による法案第786/2024号では、生体動物輸出取引に輸出税を課すことを定めている。
一方、行政府では環境省の動物保護局が輸出に反対する技術的見解を示し、司法の場でも動物のhttps://agenciabrasil.ebc.com.br/foto/2024-05/lula-recebe-o-primeiro-ministro-do-japao-fumio-kishida-1714753676-1権利を擁護する行動に参加している。
同局のヴァネッサ・ネグリーニ局長は、農業議員連盟(FPA)が野生動物保護を扱う法案第347/2003号に修正を加えた一件を、最近の障害の一つとして挙げた。
「この修正の文言は、法制度の後退につながる危険を孕んでいます。例外的な法的枠組みを設けることで、動物保護の刑事的な保障を弱めるものです。環境犯罪法の適用から生産活動を除外することで、苦痛や回避可能な苦しみを伴う農業慣行が通常の行為として再解釈される恐れがあります」(ヴァネッサ・ネグリーニ局長)
動物保護団体「マーシー・フォー・アニマルズ」によると、生体動物の海上輸出を終わらせる動きは近年、世界的な潮流となっている。2018年にはインドが禁止措置を講じ、ニュージーランドと英国もそれぞれ2021年、2024年に同様の決定を下した。2022年にはドイツとルクセンブルクが、欧州連合域外への生体動物輸出を禁じている。
2024年には、国際市場における主要供給国であったオーストラリアが、羊の輸出を終了すると発表した。アルゼンチンやエクアドルでは禁止法案が審議中であり、ウルグアイでも同様の法案が提出される予定だ。同国はすでに2025年、経済への悪影響を理由に生体動物輸出を停止している。
「ブラジルは世界的な潮流に逆行しています。経済的な観点から見ても、生体動物の輸出は意味をなしません。雇用を国外に流出させ、肉や皮革の付加価値の高い生産活動を海外に移転させてしまうからです。その結果、所得の創出や税収の確保に悪影響を及ぼします」(ジョルジ・ストゥラーロ氏)
ブラジルでの生体牛輸出禁止の社会経済的影響を分析した研究によると、加工肉の輸出へ移行することで最大19億レアルの付加価値が生まれ、最大7,200人の正式雇用が拡大し、税収も最大6億1千万レアル増加するとされる。この研究は、マトグロッソ州立大学(UEMG)のマイラ・ルイーザ・スパンホリ氏と、リオデジャネイロ連邦大学(UFRJ)のカルロス・エドゥアルド・フリックマン・ヤング氏によって行われた。
「生体牛の輸出は国内市場における原料供給を減らし、価格を押し上げるだけでなく、同じ輸入国を対象とする冷蔵牛肉の輸出を阻害します。これは非常に一般的な現象です」(ジョルジ・ストゥラーロ氏)
さらに同氏は「ブラジルが生体動物の輸出を禁止すれば、中期的にその代替を担える国は存在しません。輸出量の規模を考えれば、輸入国は冷蔵牛肉の購入を増やす可能性が最も高いのです」(ジョルジ・ストゥラーロ氏)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




