コパ・ド・ブラジル決勝はコリンチャンス対ヴァスコ

2025年 12月 15日

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好守備で勝利に導いたコリンチャンスの守護神ウーゴ・ソウザ(写真/Rodrigo Coca/Agência Corinthians)

2025年のコパ・ド・ブラジル決勝進出チームが、12月14日(日)に決まった。優勝賞金7700万レアルを懸けて戦うのは、PK戦で勝利したコリンチャンスとヴァスコ。コリンチャンスはクルゼイロを、ヴァスコはフルミネンセをそれぞれ退け、決勝に進出した。両試合では、ゴールキーパーの活躍が勝敗を分けた。

コリンチャンスの守護神ウーゴ・ソウザ、ヴァスコの守護神レオ・ジャルジンは、それぞれ2本のシュートを止め、PK戦で大きな存在感を示した。両者の好セーブがチームを決勝へと導いた。

決勝はホーム&アウェー方式で行われる。第1戦は12月17日(水)、サンパウロのネオ・キミカ・アレーナで午後9時30分(ブラジリア時間)にキックオフ。第2戦は12月21日(日)、リオデジャネイロのマラカナンで午後4時に行われ、2025年のブラジル男子サッカーシーズンを締めくくる一戦となる。両試合はラジオ・ナシオナウ(ブラジル)で生中継される予定だ。

<ウーゴ・ソウザ、ミネイロ勢を退ける好守>

最初に決勝進出を決めたのはコリンチャンスだった。サンパウロのネオ・キミカ・アレーナで行われた試合は、90分間を2–1でクルゼイロに敗れたものの、PK戦で5–4と競り勝った。第1戦では、10日(水)にベロオリゾンチ市のミネイラォンで1–0と勝利しており、2試合合計スコアは並んだ。

「チマォン(ビッグ・チーム)」の愛称で知られるコリンチャンスは、これまでに3度の優勝を誇り、最後のタイトルは2009年。今回で通算8度目のコパ・ド・ブラジル決勝進出となる。直近では2022年に決勝へ進んだが、フラメンゴに敗れている。

「アウヴィネグロ(白黒軍団)」ことコリンチャンスは、2026年のコパ・リベルタドーリス出場の可能性を残しているが、それはコパ・ド・ブラジルで優勝した場合に限られる。ブラジル選手権を13位で終えたため、タイトルを逃せば来季はコパ・スダメリカーナに回ることになる。
一方、「ハポーザ(キツネ)」の愛称を持つクルゼイロは、ブラジル選手権を3位で終えており、すでに南米最大のクラブ大会リベルタドーリスのグループステージ出場を確定させている。

第1戦の劣勢を覆すべく、クルゼイロは立ち上がりから主導権を握った。前半8分、コロンビア人FWルイス・シニステラが右サイドを突破して鋭いクロスシュートを放つ。16分にはMFマテウス・ペレイラのボレーをコリンチャンスGKウーゴ・ソウザが好セーブ。そのこぼれ球に反応したシニステラがゴール前で狙ったが、DFグスターボ・エンヒッキに阻まれた。

しかしシニステラは太ももの筋肉系の持病が再発し、前半30分に交代を余儀なくされた。代わって入ったエクアドル人FWケニー・アローヨが試合の流れを変える。投入からわずか9分後、右サイドからMFクリスチャンがクロスを送ると、アローヨがDFマテウジーニョより先に飛び込み、ヘディングでネットを揺らした。

後半4分、FWカイオ・ジョルジが右サイドを突破し、フリーで抜け出したFWケニー・アローヨにラストパス。アローヨはGKウーゴ・ソウザと1対1の場面を冷静に決めてネットを揺らした。一度はオフサイド判定で取り消されたが、VARによる確認で正当な位置と認められ、クルゼイロの2点目が成立した。

しかしその5分後、コリンチャンスが反撃。MFホドリゴ・ガーホの中盤からのFKをDFアンドレ・ハマーリョがヘディング。GKカッシオが処理しきれず、最後はDFマテウス・ビドゥが押し込んでゴールを奪い、再び合計スコアを振り出しに戻した。その後「チマォン」は攻勢を強め、ビドゥとMFブレーノ・ビドンが立て続けにポストを直撃するなど猛攻を仕掛けたが、スコアは動かず。試合はそのままPK戦へと突入した。

試合はPK戦にもつれ込んだ。

これまでネオ・キミカ・アレーナで数々の好守を見せてきたコリンチャンスの守護神カッシオだったが、この日はFWユリ・アウベルトのシュートを止め、逆にクルゼイロに優位を与えてしまい、スタンドのサポーターを落胆させた。

しかし、クルゼイロのFWガブリエウ・バルボーザが決定機を逃す。シュートは甘く、GKウーゴ・ソウザが冷静にセーブ。さらにMFウォラセのキックもウーゴ・ソウザが止め、チマォンの守護神は存在感を見せつけた。

最後はMFブレノ・ビドンが勝負を決める一撃を沈め、アウヴィネグロ(白黒軍団)=コリンチャンスが劇的な勝利で決勝進出を果たした。

<レオ・ジャルジン、ベジェッティとカノッビオを封じる好守>

続く一戦ではヴァスコがPK戦を制し、決勝進出を果たした。

フルミネンシに90分間で1–0と敗れたものの、PK戦を4–3で制した。第1戦は11日(木)、リオデジャネイロで2–1と勝利しており、通算スコアで並んだ末の決着だった。ヴァスコはこれで通算3度目のコパ・ド・ブラジル決勝進出。最後に決勝へ進んだのは14年前で、その際にクラブ史上唯一のタイトルを獲得している。

この勝利により「丘の巨人(Gigante da Colina)」ことヴァスコは、ブラジル選手権を14位で終えたものの、リベルタドーリス出場への望みをつないだ。準優勝に終わればコパ・スダメリカーナに回ることになる。

一方、「トリコロール」の愛称を持つフルミネンシは、ブラジル選手権を5位で終えており、すでに南米大陸最高峰のクラブ大会リベルタドーリスのグループステージ出場を確定させている。

試合はアグリゲートで優位に立つヴァスコが立ち上がりから積極的に攻め、相手GKファビオに仕事を強いた。FWラヤンとFWアンドレス・ゴメスが立て続けに危険なシュートを放ち、特にゴメスは前半12分、左から切り込みエリア外から狙った一撃を放ったが、ファビオが指先で触ってゴールを阻んだ。

堅守を見せていたクルズマウチーノ(マルタ十字軍)=ヴァスコだったが、前半35分に思わぬ形で失点。右サイドからアグスチン・カノッビオが低いクロスを入れると、FWエヴェラウドのシュートはポストを直撃。こぼれ球を処理しようとしたDFパウロ・エンヒッキがクリアミスで自陣ゴールに押し込み、フルミネンシが先制した。アディショナルタイムには、MFラヤンの直接FKをGKファビオが好セーブし、トリコロールがリードを保ってハーフタイムに入った。

後半8分には再びファビオがオーラを放つ。右サイドからDFプーマ・ホドリゲスがクロスを送り、FWラヤンがヘディングで右隅を狙ったが、ファビオが指先で防いだ。試合は荒れ模様となり、イエローカードが9枚提示される展開。結局追加点は生まれず、勝負はPK戦へともつれ込んだ。

PK戦では、まずファビオがFWパブロ・ベジェッティのシュートを止めて好スタート。しかし第2ラウンドでヴァスコのGKレオ・ジャルジンがFWジョン・ケネディのキックを阻止し、流れを引き戻した。さらに第5ラウンドでは、ヴァスコの守護神がカノッビオのシュートを足でセーブ。最後はDFプーマ・ホドリゲスが決め、ヴァスコが決勝進出を決定づけた。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)