サンタカタリーナ州議会、州立大学の人種別入学枠割当制度法案を可決

2025年 12月 16日

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ブラジル連邦公設弁護局(DPU)は、サンタカタリーナ州の人種別入学枠割当制度廃止を批判した(写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)

ブラジル連邦公設弁護局(DPU)は、サンタカタリーナ州議会(Alesc)が先週、人種別入学枠割当制度を州立大学で禁止する法案を可決したことに対し、公に批判を表明した。

声明の中でDPUは、アレックス・ブラジル議員(自由党)が提出した法案第753号(2025年)の承認について「懸念と強い拒絶の意」を示した。

新法は、州立の高等教育機関のみならず、州政府から資金を受ける教育機関に対しても、人種別入学枠割当やアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)政策の導入を禁じる内容となっている。

DPUは、この措置が「重大な社会的後退」であるとともに、「連邦憲法の基本原則、特に実質的平等の原則に違反するため違憲」であると指摘。黒人、先住民、キロンボーラ(逃亡奴隷の子孫共同体)などの権利承認における歴史的な進展を危険にさらすものだと警告した。

新たに成立したサンタカタリーナ州法は、州立大学における人種別入学枠割当制度(クオータ制度)の導入を禁じるだけでなく、これに違反した募集要項には10万レアルの罰金を科すと定めている。また、法令違反を理由に、関係する公務員に対して行政上の懲戒手続きを行うことも明記された。

法案を提出したアレックス・ブラジル議員(自由党)は採択理由として「経済的条件や公立学校出身といった基準以外に基づいている人種別入学枠割当制度は、(憲法上の)法的な論争を招き、平等原則や公的機関の公平性原則と衝突する可能性がある。なぜなら、そうした(人種による)区分は、必ずしも(対象者が)不利な状況(低所得や教育環境の不足など社会経済的な不利益)であることを反映しているとは限らないからだ」と主張した。

これに対し、連邦公設弁護局(DPU)は「州における人種別入学枠割当制度廃止の試みは、社会的上昇や歴史的に周縁化されてきた集団の学術・制度空間への進出を妨げる動きと同調し、排除的かつ人種主義的な言説を露呈している」と厳しく批判した。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)