ブラジル、アルゼンチン主導のベネズエラに関する共同声明への署名を見送り
2025年 12月 22日

アルゼンチン主導のもと、南米南部共同市場(メルコスール)の一部加盟国は、ベネズエラにおける民主主義の回復と人権の尊重を求める共同声明を発表した。同文書は、ブラジルが議長国を務め、今週土曜日(12月20日)にパラナ州フォス・ド・イグアスで開催されたメルコスール首脳会議の会期中に署名された。
ブラジルのルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は、この共同声明への署名を行わなかった。ウルグアイのヤマンドゥ・オルシ大統領も同様に署名しなかった。
ブラジル大統領府(プラナウト宮)は、メルコスール名義でこうした文書に署名することは、アメリカ合衆国当局による将来的なベネズエラへの軍事介入を支持するものと解釈される恐れがあり、それはブラジルの国益にそぐわないと判断だった。
声明文には、米国とベネズエラの間で続く緊張関係や、カリブ海地域における米軍のプレゼンス拡大についての言及がされていなかった。ドナルド・トランプ大統領の政権は、2013年から政権を握るニコラス・マドゥロ氏をベネズエラの正統な指導者として認めていない。
米国側は、自国に流入する麻薬密売ルートの掃討を大義名分として、船舶への爆撃や石油タンカーの拿捕を続けている。これに対しニコラス・マドゥロ大統領は、その背後には同国の石油資源に対する利権があり、この地域における軍備強化はマドゥロ大統領の退陣を目的としたものであると主張している。
カリブ海に位置するベネズエラは世界有数の産油国の一つであり、石油は同国経済の中核をなす。米国の軍事行動はベネズエラに深刻な財政的圧迫をもたらす可能性がある。
共同声明の内容
前日に発表された共同声明は、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領、パラグアイのサンティアゴ・ペーニャ大統領、およびパナマのホセ・ラウル・ムリーノ大統領の名義で出された。また、ボリビア、エクアドル、ペルーの政府高官も同書簡に署名した。
各国首脳らは、南米ブロック(メルコスール)から資格停止処分を受けているベネズエラにおける、深刻な移民・人道・社会危機に対し「深い懸念」を表明した。
声明では、「(各国首脳は)平和的な手段によって、ベネズエラにおける民主秩序の完全な回復と、無条件な人権の尊重を実現するという確固たる決意を改めて確認した」と述べられている。
南米南部共同市場(メルコスール)は1991年にアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイによって設立され、2012年にはベネズエラを加盟として受け入れた。しかし、2017年に同国は、ブロック加盟国の民主主義への関与を定めた「ウシュアイア議定書」(1998年署名)の条項に基づき、民主的秩序の崩壊を理由に資格停止処分を受けた。
今回の声明において、各国は依然としてウシュアイア議定書の有効性を改めて確認するとともに、「民主主義を遵守するのためのメカニズムの構築」などを含む諸原則を改めて強調した。さらに、政治犯の釈放も求める姿勢も示された。
ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は、2024年7月にベネズエラで行われた大統領選挙におけるニコラス・マドゥロ氏の勝利を公式には認めていないが、ブラジル政府は隣国に関する諸問題に対して「極めて慎重な姿勢」を維持している。
こうした文脈から、ブラジル大統領府は、米国による「軍事解決の脅威」に言及することなく、政治問題の解決の必要性を説く宣言を承認することは実効性がないと判断している。
人道的惨劇への懸念
先週木曜日(18日)、大統領府で行われた記者会見においてルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は、事態の外交的解決を模索するため、ニコラス・マドゥロ氏およびドナルド・トランプ氏の両名と電話会談を行ったことを明らかにした。メルコスール首脳会議の中で同大統領は、ベネズエラへの介入は人道的な大惨事を招き、世界にとって危険な前例を作ることになると主張した。
ルーラ大統領は首脳らへの演説の中で、「マルビナス戦争(フォークランド戦争)から40年以上が経過した今、南米大陸は再び域外大国の軍事的プレゼンスという影に怯えている。国際法の限界が試されている」と述べた。
これに対し、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、ニコラス・マドゥロ氏を「ナルコテロリスト(麻薬テロリスト)」と呼び、ベネズエラ沖での軍事行動を称賛した。
ミレイ大統領はメルコスール首脳会議の演説で、「アルゼンチンは、ベネズエラ国民を解放するための米国およびドナルド・トランプ氏による圧力を歓迎する。この問題において、弱腰でいられる時代はもはや過ぎ去った」と語った。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




