「ブラジル映画祭+」開幕、7作品を上映

2026年 01月 8日

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「パカへチは踊る」(写真/© 2019 DEBERTON FILMES)

日本では上映される機会が少ないブラジル映画を、新作を中心に映してきた「ブラジル映画祭」。2005年からトゥピ二キーン・エンタテインメントにより開催されていたが、2015年を最後に幕を閉じた。

昨年、日本でも公開された「アイム・スティル・ヒア」がアカデミー賞外国映画賞を受賞したほか、「ザ・シークレット・エージェント」(クレーベル・メンドンサ監督作品、日本公開未定)がカンヌ映画祭で最優秀監督賞、最優秀男優賞(ヴァギネル・モウラ)を受賞するなど、ブラジル映画の存在感が国際的に高まる中、「ブラジル映画祭」が帰ってきた。

当時、「ブラジル映画祭」の中心で活動していたスタッフの手で、装いも新たに「ブラジル映画祭+」として、1月9日(金)に開幕する。

今回は、劇場での公開に加え、オンライン上映も行われる。劇場での上映はヒューマントラストシネマ渋谷にて1月15日(木)まで。オンライン上映は1月16日(土)~2月15日(日)の期間、開催される(一部作品は劇場のみ)。

「ブラジル映画祭+」での上映作品は、長編ドラマ2作品、長編ドキュメンタリー4作品、ショートフィルム1作品も計7作品となる。

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「僕らの夢~ファンキ・カリオカ」(写真/NOSSO SONHO© URCAFILMES & WARNER BROS.2023)

「僕らの夢~ファンキ・カリオカ~(Nosso Sonho)」は、1990年代に国中を席捲したファンキ・カリオカのデュオ、クラウジーニャ&ブシェッシャの伝記映画。2003年に公開から約6週間で、同年の国際映画最大のヒットとなった作品。

リオデジャネイロ州の、ニテロイ市に隣接するサン・ゴンサロ市出身の幼馴染クラウジーニャとブシェッシャが、いかに国民的スターになっていったか、そして、その裏にあった家族のドラマを描いた映画。

ファヴェーラのダンス文化(バイリ・ファンキ)の中から生まれたファンキ・カリオカには、地元のファヴェーラの麻薬犯罪組織と関連する歌や、抗争や日々のサバイバル、暴力などを歌うものから、恋愛や人生について歌った普遍的なポップスまで、さまざまなスタイルがある。

ポップなメロディと誰もが楽しめる歌を歌ったクラウジーニャ&ブシェッシャのサウゲイロ地区時代の描写では、ファヴェーラの住人の多くが、貧しくとも犯罪とは無縁の生活を送り、犯罪のない世界を望んでいることを伝えている。

「パカへチは踊る」は、北東部セアラー州の内陸部にある地方都市フッサスで、実在した街のちょっと変わった人物パカへチの人生を描いた物語。

若い頃、州都フォルタレーザでバレエを踊り、教えていたパカへチは、年老いた今、故郷フッサスで姉シキーニャの介護をしながら暮らしている。しかし、芸術家として脚光を浴びた日々が忘れらえず、今もなお芸術家として生きようとするパカへチは、街の人々からみると、“奇妙なお騒がせ女性”でしかない。

フッサスの出身でこの映画の監督を務めたアラン・デベルトンは、少年時代に実際に街でパカへチを目撃しているという。

学校帰りに町の広場で、ほうきを手に踊る風変わりな女性を見かけたアラン少年は、街の人々がその女性を指さし「パカへチ」と言っていたのをきき、“パカへチ”とは気がふれた人、病んだ人を指す言葉だと思い込んでいたという。

後に彼女のことを知るようになり、ただ“奇妙で回りを騒がせているだけの女性”ではなく、その生き方に詩的なものを感じたことから、彼女を題材にした映画を作ることにしたという。

周囲と軋轢を生みながらも自分らしく生きようともがく一人の女性の生きざまを、じんわり描いたこの映画は、2019年、ブラジル国内の著名な映画祭「グラマード映画祭」で最優秀作品賞をはじめ主要8部門をごっそりと受賞して話題になった。

「ブラジル映画祭+」の詳細は公式(HPhttps://ttcg.jp/human_shibuya/movie/1265900.html)を参照。

(文/麻生雅人)