サンパウロのフェミサイド(女性殺害)反対集会で、犠牲者の追悼壁画が公開される
2026年 03月 2日

フェミサイド(女性であることを理由とした殺害。フェミニサイドとも呼ばれる)に抗議する集会が3月1日(日)午前、サンパウロ市内で開かれ、2025年11月に殺害されたタイナラ・ソウザ・サントスさん(31)を追悼する全長140メートルを超える壁画が公開された。
壁画は女性グラフィティ作家やビジュアルアーティストによって制作されたもので、同集会は3月8日の国際女性デーに向けた連邦政府の公式プログラムの幕開けともなった。
壁画が設置されたのは、市北部パルキ・ノーヴォ・ムンド地区のマージナウ・チエテ(チエテ川沿いの幹線道路)沿いで、タイナラさんが昨年11月29日、ダグラス・アウヴェス・ダ・シウヴァ容疑者(当時26)に車でひかれ、引きずられた現場でもある。襲撃後、タイナラさんは重傷を負って入院し、両脚の切断を余儀なくされたが、12月24日に傷の悪化により死亡した。
集会には、社会運動団体や労働組合、パルキ・ノーヴォ・ムンド地区の住民、国会議員らが参加した。連邦政府からは、女性省のマルシア・ロペス大臣、環境・気候変動省のマリーナ・シウヴァ大臣、先住民省のソニア・グアジャジャラ大臣、農業開発・家族農業省のパウロ・テイシェイラ大臣が出席した。
「私たちは、グラフィティ作家たちが描いたこの壁を見て、これは“修復の壁”、 “償いの壁”、そして“私たちの人生を変える壁”だと言えるでしょう。この地域で起きた出来事を刻み、教訓として残す壁です。私たちは、すべての少年、少女、若者、そして男性に問いかける勇気を持たなければなりません。いま何が起きているのか、と」(マルシア・ロペス大臣)
マリーナ・シウヴァ大臣は、女性が日常的に殺害されている現状に強い懸念を示し、フェミサイド対策の重要性を訴えた。
「私たちがここで行っているのは、命を守るための行動であり、すべての女性の尊厳を守るための行動です。ブラジルでは1日に4人の女性が殺害されています。年間にすると約1,500人です。これは社会のすべての人が、あらゆる場所で、あらゆる場面で立ち向かわなければならない問題です」(マリーナ・シウヴァ大臣)
タイナラさんの母親、ルシア・アパレシーダ・ダ・シウヴァさんは、娘への思いと深い悲しみを語った。
「娘はとても溌剌とした、まだ若い女性でした。それを、皆さんもご存じのような形で、あの“怪物”に奪われました。車ではねられ、引きずられ、車の下に押し込められ、まるでゴミ袋か動物のように扱われたのです。両脚を失い、背中の皮膚も、臀部も失いました。こんなことをした相手は、人間ではありません」(ルシア・アパレシーダ・ダ・シウヴァさん)
<140メートル超の壁画に込められたメッセージ>
壁画は、カチア・ロンバルドとシモー二・シスが中心となり、35人以上の女性グラフィティ作家によって制作された。シスは、制作にあたりタイナラさんの家族、とりわけ母親のルシアさんと密に連絡を取り合ったという。
「タイナラさんを、家族が語ってくれたとおり“明るい姿”で描きました。彼女が大好きだったダンスを象徴する“I love dance”のバッジ、ヴィラ・マリア地区のクラブのシンボル、草サッカーの女性たちも描き込みました。家族への寄り添いの気持ちと、フェミサイドに反対するメッセージを込めています」(シモー二・シス)
壁画の制作者の一人、クリカ・モンテイロは、作品の核心にあるのは「女性が殺されない社会を求める声」だと強調した。
「この壁を描いたのは女性たちです。多くの女性が力を合わせて、この場所に命のメッセージを刻みました。“私たちの命を守ってほしい”。それが私たちの願いです。そして、この地域に暮らすタイナラさんのお母さんへの愛と敬意を込めた作品でもあります」(クリカ・モンテイロ)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




