【ブラジル】セラードとパンタナウに新たな環境保護区が誕生
2026年 03月 24日

ブラジルはミナスジェライス州のセラード地域に新たな保全区域(UC)を設置し、パンタナウ地域では既存の保護区を拡大した。両措置を合わせると、環境保護下に置かれる面積は14万8,000ヘクタール増えることになる。
ミナスジェライス州では、新たに「北ミナスジェライスのヴァーリス川流域持続可能開発保護区」が創設された。マットグロッソ州では、「パンタナウ・マットグロッセンシ国立公園(PNPM)」と「タイアマン生態保護地区」の保護区域が拡大された。
発表は3月22日(日)、カンポ・グランジで開催中の「移動性野生動物に関する条約(CMS)第15回締約国会議(COP15)」の場で、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領によって行われた。
保全区域(UC)の管理は、環境・気候変動省(MMA)傘下の自治機関である「シコ・メンデス生物多様性保全研究所(ICMBio)」が担っている。
「今回の措置は、技術的根拠に基づき、専門的な対話と確かな制度間協力を経て構築されたものです。パンタナウの生態系を支える“氾濫パルス”を維持するために不可欠な地域の保護を強化するものであり、この現象は生物多様性を支え、生態サイクルを調整し、気候変動に対するこの独自のシステムのレジリエンスを確保します」と、マリーナ・シウヴァ環境・気候変動相は説明した。
「セラードに新たな保全区域が創設されたことも同様に重要です。これは社会正義と保全を両立させるもので、ジェライゼイロ(伝統的コミュニティ)の直接的な参加によって構築されました」(マリーナ・シウヴァ環境・気候変動相)
拡大された保全区域および新設された保護区の詳細は以下のとおり。
<タイアマン生態保護地区>
「タイアマン生態保護地区(Estação Ecológica do Taiamã)」は、1981年6月2日付の政令第86.061号によって創設された。
同保全区はマットグロッソ州カセレス市に位置し、州都クイアバから約220キロ離れている。今回の拡張により、保全区の総面積は1万1,500ヘクタールから6万8,500ヘクタールへと大幅に拡大される。
ICMBioの情報によると、タイアマンはパラグアイ川に囲まれた河川島で、主に氾濫原の草地から構成されている。常時水を湛える湖、季節的な湖、三日月湖、コリショスと呼ばれる細長い水路など、多様な水域環境が広がる地域だ。
名称の由来は、この地域に生息する水鳥タイアマン(オオハシアジサシ、通称トリンタへイス、学名 Phaetusa simplex)にある。この保全区は、魚類(魚類相)、多様な鳥類(鳥類相)、そして草本から高木に至るまで幅広い植物種の生息・繁殖を可能にしている。
2021年には、魚やワニを捕って食べる独特の行動を持つジャガーの群れが発見された。他地域のジャガーが主に陸生哺乳類を捕食するのとは異なる習性で注目を集めた。
保全区の拡張は、マットグロッソ州立大学(Unemat)の研究者らが長年求めてきたもので、昨年末にICMBioが実施した公聴会でも強く支持された。
「科学的調査は、現在の面積ではジャガーの個体群や、確認されている131種の魚類を十分に保護するには不十分であることを示しています」と語るのは同大学の生物学者で生態学・天然資源学のクラウミール・セーザル・ムニス博士。
「拡張によって、ジャガーの遺伝的多様性を維持するための十分な生息域が確保され、魚類の自然の産卵場も守られることになります」(クラウミール・セーザル・ムニス博士)
また、研究者のエルナンデス・ソブレイラ氏は、「これらの機能に加えて、保全面積の拡大は炭素吸収量の増加、気候調整、水質浄化といった恩恵をもたらし、人間の生活の質にも直接寄与します」と強調した。

<パンタナウ国立公園>
「パンタナウ・マットグロッセンシ国立公園(PNPM)」は、1981年9月24日付の政令第86.392号によって創設された。
同公園はマットグロッソ州ポコネ市に位置し、州都クイアバから約100キロの距離にある。今回の拡張により、公園の総面積は13万5,900ヘクタールから18万3,100ヘクタールへと拡大される。
公園の境界は、南および西側がパラグアイ川、北西がカラカラー・グランジ川、南東がサン・ロレンソ川、東がカラカラジーニョ川、そして北側はアレグリ川およびカラカラジーニョ川の影響を受ける周期的な氾濫域となっている。
また、公園はボリビア国内に位置する「サン・マティアス統合自然管理地域」とも接している。
同公園は、年間最大8カ月に及ぶ大規模な氾濫が特徴で、パラグアイ川の水に加え、増水期にはサン・ロレンソ川の河床からの溢水も受ける。
ICMBio は、この保全区域で保護されている絶滅危惧種のリストを公表している。その中には、マーゲイ(Leopardus wiedii)、オオアリクイ(Tamanduá-bandeira)、ジャガー( Onça-pintada)、アカハラシャクケイ(Jacu-de-barriga-castanha)、オオアルマジロ( Tatu-canastra)、オオカワウソ(Ariranha)、クロアカヒメウソ(Caboclinho-do-sertão)、エスチレッチ(貝の一種、Lamproscapha ensiformis)、アメリカヌマジカ( Cervo-do-pantanal)などが含まれる。
<北ミナスジェライスのヴァーリス川流域持続可能開発保護区(新設)>
新たに創設される「北ミナスジェライスのヴァーリス川流域持続可能開発保護区(RDS)」の面積は4万800ヘクタールとなる。
この保全区域は、ミナスジェライス州のヒアショ・ドス・マシャードス、ヒオ・パルド・ジ・ミナス、セハノーポリス・ジ・ミナスの各市にまたがり、州都ベロオリゾンチから600キロ以上離れた地域に位置する。
期待されているのは、地域の水源を守り、地元の採取活動が行われるエリアを保全することだ。
新たな保全区は、セラードにある他の保護区とも連結しており、州立公園セーハ・ノーヴァと接続し、州立公園グラォン・モゴウにも近接している。
連邦政府によると、今回の創設は、タマンドゥア川、ポソンイス川、ヴァカリア川の流域に広がる台地や氾濫原に暮らす伝統的コミュニティの保護にも重点を置いている。
その代表が、少なくとも19世紀からこの地域に暮らしてきた「ジェライゼイロ」と呼ばれる住民たちだ。新たな保全区は、彼らの社会的脆弱性を軽減し、領土権の確保にもつながるとされる。
「この保護区の創設は、世代を超えて自然を守り続けてきたジェライゼイロの歴史的な重要性を認めるものです。新たな保全区は彼らの土地を守り、セラードとカアチンガが交わるこの地域で、自然と調和して生きる生活様式を強化します」と、ICMBioのマウロ・ピリス総裁は述べた。
「新たな保護区が増えるということは、私たちの森林、河川、生物多様性をより丁寧に守ることを意味します。それはまた、科学が示している通り、地球温暖化への対抗力を高めることにもつながります」(マウロ・ピリス総裁)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




