米国、ブラジルの犯罪組織CVとPCCを「外国テロ組織」に指定へ。ブラジル政府は“麻薬テロ”名目の米軍行動拡大を警戒
2026年 06月 2日
アメリカ合衆国政府は5月28日(木)、同国国務省の声明で、ブラジルの犯罪組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)とプリメイロ・コマンド・ダ・カピタウ(PCC)を「外国テロ組織(FTO)」として指定する方針を明らかにした。
声明によると、指定は6月5日から有効となり、移民・国籍法(Immigration and Nationality Act)219条およびドナルド・トランプ大統領の大統領令に基づいて実施される。FTO指定は、連邦官報(Federal Register)への掲載後に正式に発効する。
米国務長官マルコ・ルビオ氏は声明で、CVとPCCは「ブラジルで最も暴力的な犯罪組織の二つだ」と強調した。
「両組織は数千人規模の構成員を抱え、ブラジルの警察官、公的機関関係者、市民に対する残虐な攻撃を指揮してきた。その影響力と不正ネットワークはブラジルの国境をはるかに越え、地域全体、そして米国にも及んでいる」と述べた。
ブラジル政府はここ数カ月、米国によるテロ組織指定を回避しようとしていた。指定が行われれば、米軍のブラジル国内での行動につながる可能性や、経済・金融分野への深刻な制裁が発動される恐れがあると判断していたためだ。
<リスク>
専門家の評価によると、今回の指定はブラジルの主権に対する潜在的なリスクを伴い、両国間の捜査協力の取り組みにも悪影響を及ぼす可能性がある。理由として、両国の治安機関が共有する情報の機密レベルが変更され、米中央情報局(CIA)や軍事機関に情報が集中する形になるためだ。
こうした変更は、現在進行中の共同捜査を妨げ、将来的な協力を不可能にする恐れがあると専門家らは指摘する。
<「麻薬テロ」という名目を掲げた軍事政策>
ドナルド・トランプ政権は新任期に入り、ラテンアメリカに対するワシントンの外交政策を再構築し、「麻薬テロ」と呼ぶ脅威への対処を名目に、軍事力を同地域へ向ける方針を強めている。
ここ数カ月、米軍はテロ対策を理由に、米国の管轄外であるカリブ海の複数の船舶を直接爆撃した。
年初に実施されたベネズエラ領への侵攻では、当時のニコラス・マドゥーロ大統領と妻シリア・フローレスが拘束・退陣に追い込まれたが、この作戦も「麻薬テロとの戦い」を根拠として正当化された。
今回の新たな指定に基づき、同様の行動がブラジル領内で行われる可能性は依然不確定ながら、現実的なリスクとして浮上している。
今月初め、米国を訪問したルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル連邦共和国大統領はホワイトハウスでトランプ大統領と会談し、ブラジルと米国で活動する国際犯罪組織の資金源を断つため、両政府が共同で取り組む枠組みの導入について協議した。
ルーラ大統領によると、この場ではブラジル国内で活動するCVやPCCといった犯罪組織について具体的な議論は行われなかったという。
ルビオ氏の発表は、同日(28日)ワシントンで行われた、彼とフラヴィオ・ボウソナーロ上院議員(PL・リオデジャネイロ州、次期大統領選の予備候補)との会談とも時期が重なる。
前日には、フラヴィオ議員は兄である、国外に自主的に滞在しているエドゥアルド・ボウソナーロ元下院議員とともにホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と面会していた。両名はジャイル・ボウソナーロ前大統領の息子である。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




